このように、仕事がデキる子会社社員が親会社の社員以上の仕事をしているのに、給与は低いままという職場にいる方から、不満の声を聞く機会が多くあります。
格差を埋める意思がある会社はほぼない
取材した専門商社では、正社員と契約社員が同じ営業部でほぼ同じような役割、目標で仕事をしていました。ところが給与は契約社員が正社員の8割程度。正社員は将来の幹部候補と考えて、管理職の指導も手厚く行われている様子。同一労働同一賃金の時代、その格差は埋めるべきといいたいところですが、その格差があって経営が成り立ってきたという経緯があります。
たとえば、製造業の親会社が販売やメンテナンスの子会社を設立。各子会社で採用をするものの、双方で出向が行われることがあります。そこで勤務している営業職や管理職で給与が違うのに同じ役割を担い、格差が生まれます。
さらに出向する社員がさまざまな理由から増えてくると、その格差が目立つようになり、不満が増幅されます。たとえば、管理職にもかかわらず、営業社員の指導ができない、本社からの出向社員。同じような仕事をしているのに給与が相当に違うなど、格差が不満を生むのです。
ならば、格差をなくすように是正すればいいと考えたいところですが、経営者の視点に立てば難しいのは明らか。企業は子会社をつくり、その子会社で低い賃金制度を導入することでグループ全体としての収益を確保してきました。子会社に勤務している社員の市場価値に対する対応ともいえますが、この格差を埋める意思がある会社はほぼないと思われます。
企業に聞いてみても親会社と子会社の同一労働同一賃金を検討しているという話を聞いたことがないのです。親会社、子会社における同一労働同一賃金の推進はかなり難しいと感じます。
今後おそらく、日本全体で正規・非正規における格差是正は進むことでしょうが、こうした格差が残る以上、それで同一労働同一賃金の推進ができたとは考えないようにしたいものです。
子会社に入社して、親会社社員との給与格差で大きな不満を抱える人が大量にいるのは事実。親会社から出向してくる部長は仕事ができなくても、高い給与がもらえる。あるいは親会社に出向して仕事で成果を出しても、親会社の社員のような給与はもらえない。頑張ったところで見返りがないので、出向などしたくない……といった不満をたくさん聞くことがあります。この対策をどのようにしていくべきなのか? 今後、考えていくべき課題かもしれません。
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