ヤバくなったテスラを買収するのはトヨタ? 米国のテック企業に何が起きているのか

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藤野:アマゾンに対しても、やっかみ半分でしょうね。でも、トランプ大統領ってわかりやすいなと思ったのが、アマゾンに対してはあれだけ攻撃的なのに、フェイスブックに対しては一切、文句を言わない。ここを突くと、大統領選挙の件でブーメランが飛んでくることをわかっているのでしょうか。

中野:米国も嫉妬の文化があるのですね。

藤野:米国の嫉妬は結構、強烈ですよ。ただ日本と違うのは、単に嫉妬するだけでなく、成功者を称賛する素地もあります。

渋澤:でも、将来の期待感が失われたら、テック銘柄はどうなるでしょうか。イーロン・マスクのエイプリルフール発言なんて、経営者として見れば常識外れもいいところですよね。投資信託会社が、「うちから運用資金が流出してしまって止まらない。倒産だ」と言っているのと同じですよ。

藤野:そのうえイーロン・マスクはフェイスブックに作っていたテスラとスペースXのアカウントを閉鎖してしまいました(参考記事)。

【4月6日13時追記】初出時に「フェイスブックをガンガン非難して、広告を引き揚げるとまで言っています」とありましたが上記のように訂正します。

渋澤:テック企業の間の仲間割れというか、ね。

中野:それは日本のIT業界も同じでしょう。表面上は取り繕っていますが、水面下では殴り合っている。

テスラは評価されすぎだ

渋澤:そもそもテスラの時価総額が、いくら将来の期待を織り込んでいるからといっても、例えばフォード・モーターを追い抜くこと自体がおかしいと思います。モノづくりって、アイデアはもちろん大事ですが、実際にはそれを組み立てる現場のすり合わせが何よりも重要視されます。でも、テスラは確かにEV(電気自動車)の実用化に先鞭をつけて注目されましたが、現状においてもまだ生産が追い付いていません。頭の中のアイデアは大したものですが、実体が伴ってこないのではまったく意味がありません。

藤野:うちのアナリストが昨年、テスラを訪ねたのですよ。そのときの評価は「ヤバイ」でした。当時はまったくモノが作れていない状態で、日本の町工場のほうがはるかに優秀ではないか、あれなら生産が追い付かないのも当然だと、そのアナリストは思ったそうです。

いくら優れた動力源を持つ自動車でも、結局、それを商品として販売して、会社の利益を上げていくためには、ジャスト・イン・タイムで部品をどうスムーズに調達するか、安全かつ手早く組み立てていくか、完成車をどのように流通させていくか、在庫をいかに最適化するかというように、それこそさまざまなすり合わせを行って、初めて製品としての体をなすわけですから、内燃機関のエンジンがモーターに変わり、それが自動車として革命的な技術だとしても、他の要素がダメなら、自動車全体の評価を下げてしまうのです。

あと、渋澤さんが指摘したように、イーロン・マスクがエイプリルフールにつぶやいたジョークは、それを真に受ける人が大勢いたということで、やはり大きな問題です。というのも以前、テスラのIR担当者に会ったとき、その人は「テスラは最高だ。大好きだ」と言っていたのに、最近、辞めていたことがわかりました。これは、不吉な前兆です。

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