渋澤:FANG、FAANG(FANG+アップル)など、米国を代表するテック企業の総称にはさまざまなものがありますが、フェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグルのFAAMGで見ると、S&P500の時価総額に占める比率が40%弱にも達します。当然、これらテック企業が躓けば、S&P500はしばらく調整局面入りを余儀なくされるでしょう。
中野:かなりボラタイル(変動率が高い)な相場ですよね。
渋澤:フェイスブックは、これだけ大勢の人が利用している以上、社会的インフラとして存続するとは思いますが、少なくとも成長株として今後も買えるかどうかはわからなくなりました。成長株でなければ、当然、そのプレミアムは株価からはげ落ちますね。
米国の「既存メディア」の反撃の側面も?
中野:冷静な見方をする投資家が増えていくのではないでしょうか。テック銘柄はどれも買われすぎですよ。それにしても、フェイスブックの個人情報流出が5000万人規模って、ケタ違いですね。ちなみに2014年にベネッセコーポレーションの個人情報が流出したときって、どれくらいの人数でしたっけ。
藤野:約3500万人。
渋澤:ベネッセの個人情報流出は氏名、住所、電話番号、性別、生年月日がメインで、もちろんそれはそれで問題ですが、フェイスブックは投稿内容というプライベートな行動などの情報もすべて流出したわけですから、問題の重大さが違うと思います。
藤野:フェイスブックは政治絡みで、トランプ政権の誕生やブレグジット(英国のEU離脱)をめぐる英国の国民投票にも影響したと言われていますからね。事実、2016年の米国大統領選挙期間中、トランプ現大統領にとってポジティブな記事が、熱烈な共和党支持者のフェイスブックには上がってこなかったのに、トランプを支持するかどうかで揺れているボーダー層の人々のフェイスブックに集中的に上がってきたと言われています。
それと同様のことが、ブレグジットでも行われたというのですから、フェイスブックは世論形成に利用されたわけです。ただ、この問題で批判されるべきは、フェイスブックのシステムを悪用した連中であって、フェイスブックだけが責められるのはどうかという同情的な意見もあります。
渋澤:当初からCNBCやCNNのコメントが、フェイスブックに対してかなり辛辣ですよね。それこそ、SNSに押され気味だった既存メディアが、ここぞとばかりに叩いているという感じもします。
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