オート上海で見えた【中国化する日本車】、電動化も知能化も現地企業頼み、危うさと共に独自進化を遂げる中国についていけるか

「もはやグローバル車をそのまま中国で売ることは不可能だ。電動化は市場参入の最低条件、そのうえで自動運転などの知能化と熾烈な価格競争に勝たないと数年後、中国市場では生き残れないだろう」
4月23日~5月2日に中国・上海市で開催された「オート上海(第21回上海国際汽車工業展覧会)」。会場の片隅でそう語ったのは日系自動車メーカーの幹部だ。
この幹部が自社のプレスカンファレンス終了後に視察したのは、中国最大手・比亜迪(BYD)のブースだ。5分間の急速充電で約400キロメートルの走行が可能な電気自動車(EV)向け技術「兆瓦閃充(メガワットフラッシュ充電)」や、2月に発表した高度運転支援システム「天神之眼(神の眼)」技術が展示され、来場者の熱い視線を集めていた。
年間販売が3000万台を超え、世界最大の自動車市場である中国は多くの日系メーカーにとっても最重要市場の1つだ。ところが、近年はBYDをはじめとした現地メーカーが急速に台頭し、外資系メーカーはシェアを侵食されている。日系メーカーも例外ではなく、2020年に24.1%あった販売台数シェアは2024年に13.7%へ急低下している。
同じく中国市場での苦戦が続く韓国の現代自動車と傘下の起亜は今回のオート上海への出展を見合わせた。一方で、劣勢をはね返そうと懸命にアピールした日本勢には共通点があった。それは徹底した現地化と知能化分野での協業拡大である。
マツダは長安汽車との「いいとこどり」で挽回

「いまは我慢しなければいけない」。マツダの毛籠勝弘社長はオート上海でのプレスカンファレンス終了後、報道陣に厳しい現状を率直に語った。
2017年度には中国で32万台を販売したこともあるマツダ。だが、2024年度は7.4万台と4分の1以下にまで落ち込んでいる。中国市場では急速な電動化が進展し、現在、新車販売台数のうち47%がEVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの新エネルギー車(NEV)が占める。エンジン技術を強みとしてきたマツダは厳しい戦いを強いられている。
昨年10月には現地合弁先の長安汽車と共同開発したEVとPHVのモデルをそろえたセダン「EZ-6」を投入したものの、今年3月末までの累計販売台数は5000台に満たない「スローな立ち上がり」(中島徹常務)となっている。
オート上海ではNEV第2弾となる多目的スポーツ車(SUV)「EZ-60」を初公開。こちらも長安汽車の車両をベースとしながら、走行性能やデザインでマツダらしさを加え、中国人ユーザーが好む大型ディスプレイや3Dのヘッドアップディスプレイ、立体音響システム、音声操作による駐車機能などのスマート技術を訴求した。

マツダは2027年までに長安汽車と協業で第3弾、第4弾のNEV投入を予定しており、毛籠社長は「販売実績を上げて、反転させていく」と意気込みを語る。
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