「特別養子縁組」で子を授かった夫婦のリアル 新たな家族が誕生するときに起きること
石井さん夫妻はもう一つ、通常と異なる点があります。それは、不妊治療と同時並行で里親や特別養子縁組を検討していたことです。
夫婦で話し合いを重ね、子育てをしたいという結論に至ったと話す友子さん。
「私は子どもが欲しかったのですが、自分に子どもが産めるか不安でした。年齢的にも早く妊活する必要があると思っていましたが、彼にとってはそのタイミングではありませんでした。彼が『子どもができなければ、養子でも良いんじゃない? 』と言ったので、自分は出産が経験したいのか、血の繋がった子どもが欲しいのかなど、なぜ子どもが欲しいと思ったのか考えはじめ、彼ともずいぶん話し合いを重ねました。妊娠、出産の経験は貴重だと思うのですが、私がしたいのは子育てなんだ、という結論に行きつきました」
こう振り返るのは石井友子さん。
石井さん夫妻は「子どもを育てるためにはどうしたら良いか」という発想のもと、不妊治療を継続しながら、児童相談所の里親研修を受けました。
将来的に特別養子縁組をおこなうとしても、(里親研修を受けることで都道府県から里親登録の認定を受けられる)「里親認定」を持っていたほうが良いだろうと考えたそうです。
その後石井さん夫妻は、里親の経験を持つ方を探して話を聞き、その方に勧められたことをきっかけに特別養子縁組を本気で考えるようになります。
将来、ほかの家庭の養子とも交流できるように
特別養子縁組あっせんをおこなう東京都の児童相談所の場合、特別養子縁組を前提とした里親に子どもを委託した件数は、2016年度で40名。養親になることを希望して、子どもの受け入れを待っている登録者は200名ほどいます。
共働きだった石井さん夫妻にとって、児童相談所で子どもを迎えるのは難しいかもしれないと判断し、民間の養子縁組あっせん機関に登録しました。
石井さん夫妻は、共働きでも登録可能な一般社団法人ベビーライフを選びました。そして、ベビーライフを選んだもう一つの理由は、比較的自宅の近くにオフィスがあることでした。