「特別養子縁組」で子を授かった夫婦のリアル 新たな家族が誕生するときに起きること

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石井さんは、「将来子どもが、ほかの家庭の養子の子とも交流できるように、距離的に行きやすい団体を選びました。親には言えないことがあっても、大きくなれば子ども一人で集まりに参加したり、ベビーライフのスタッフに相談しやすいようにと思いました」と話します。

将来家族として迎える子どもにとって良いことは何か。そう考えた結果だったのです。

養親として登録する団体を探す際には、他にも、特別養子縁組にかかる費用、団体の信頼度、サポートのきめ細やかさなどを比較し、適切な団体を探します。

養親になるための条件も大切です。例えば、共働きでも問題ないか、年齢制限に問題ないかなどを考慮して登録要件に当てはまるあっせん機関を選ぶことになります。年齢制限は自治体や団体によって異なりますが、子どもと養親との年齢差は40〜50歳以下が推奨されていることがあります。

「最後の選択肢」としての特別養子縁組

不妊治療と並行して特別養子縁組を想定していたという石井さん夫妻とは異なり、多くの場合には「最後の手段」として特別養子縁組にたどり着きます。

民間のあっせん機関として特別養子縁組の支援をおこなうNPO法人フローレンス(東京都)代表の駒崎弘樹さんは「養親希望者の方はほぼ9割、不妊治療をして、もう難しいなと思った方」と言います。

養親夫婦と対話を重ねてきたNPO法人フローレンス(東京都)代表の駒崎さん(写真:リディラバジャーナル)

養親夫婦と対話を重ねてきたNPO法人フローレンス(東京都)代表の駒崎さん。

「多かれ少なかれ、自分たちが子どもを授かることができないと受け入れるのには勇気が要ります。さらに血が繋がっていなくても子どもを家族として迎え育てよう、と決意するまでに相当葛藤があると思います。それなら『もう子どもはいなくてもいい』となってもおかしくないところですが、それでも何度も夫婦で話し合って、その葛藤を乗り越えて養子縁組で子どもを迎えたい、という結論にたどり着くことが多いようです」と駒崎さんは話します。

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