27歳「発達障害」の彼女がついに得た居場所

転職繰り返し、同境遇の子に寄り添う道選ぶ

以前取材した、ADHDの衝動性により買い物依存症に陥った倉田さんと同じケースなのだろうかと思って聞いてみたところ、「衝動と『もういいや!』という気持ちからです」とのことだった。また、これも衝動性と一種の自傷行為に当たると思うと植野さんが語ったのは、髪を短く切ってしまうことだ。

「自らハサミで髪を切ってしまい、切った後は後悔します。一時期はメンズのベリーショートくらいまで短くなってしまいました。そうやって髪を切るときの原因は母親とのトラブルです。今は、髪を切ることはなくなりました。また、物にあたってしまうこともありました。物にあたることは、今でもときどきあります(苦笑)」(植野さん)

この日、植野さんはショートカットだったため、もしかしてこの髪型も自分で切ったのだろうかと思い尋ねてみると、これは数日前に美容室で切ってもらった髪型だと知り、少し安心した。

入院中に両親に会った際、母親との軋轢にも悩む

家庭教師の会社を退職してからは、バイトやパートで食いつなぎながら、リワークのデイケアに通った。リワークとは、精神疾患による休職者を対象に復職に向けた支援だ。その後、母校の学童で働き始めたが、パワハラや職場の人間関係に悩み退職。

その次はアパレル店員として働いた。しかし、辞める社員の送別会に、以前この会社で働いていたという社員がやってきたことで、自分がいなかった頃の話で盛り上がり、急な環境の変化に適応できずに、送別会の間ずっと隅っこにいた。そして、帰宅後にパニックに陥り、さらに家庭環境の悪さがそこに乗っかり、精神的に追い詰められてしまった。この職場も4カ月で辞めた。

「アパレル店を辞めた頃、主治医に『もうこの社会にいたくないので、ちょっと休養させてほしい』と願い出て、1カ月半くらい休養入院をしました。当初は2週間の予定だったのですが、2週間後に外出して両親に会った際、母親と接するのが苦痛で『やっぱり外の世界なんか無理だ!』と思い、1カ月半まで延ばしてもらいました。この入院期間、看護師さんから学ぶことがすごく多く、今でもその内容を鮮明に覚えています。

入院中は一時的に主治医が変わるのですが、私はもともとの主治医しか信頼していませんでした。その頃、ADHDの薬であるストラテラを飲んでいて、入院中の主治医から『合ってないみたいだから、ストラテラやめようか?』と言われても応じませんでした。でも、退院後にもともとの主治医から『ストラテラをやめようよ』と言われた際は、素直に『はい、わかりました』と応じました(笑)。すると、精神の不調が治まったんです。本当に薬が合ってなかったんだと思います。今はADHDの薬ではなく、双極性障害の薬を飲んでいます」(植野さん)

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