朝日新聞は「反権力ごっこ」?メディアの限界

田原総一朗やアインシュタインに学ぶこと

カメラの立ち位置やフレームの作り方によって、テレビの報道内容は、その意味が大きく変わる。

おそらく、田原氏は正しい。すべての人間が異なる固有の視点を持っている。主体(個人)によって立ち位置は変わる。誰が取材するかによってカメラの位置は変化する。カメラをどこにおき、どのような視点でその「事実」を切り取るか、それは千差万別になる。

個人の視点が報道の視点となり、その限界になるのだ。主観を離れて、できる限り、客観を心掛ける。しかし、我々は、主体から離れて完全な客体(他人)になることはできない。つまり、客観報道は存在し得ない訳だ。

この限界のある主観(個人の視点)を超越することはできないものか? 田原氏にとっての「朝まで生テレビ!」とは、この限界に挑む戦いだったのではないか。さまざまな論客と議論することで、多角的相対的に意見の違いを浮き彫りにしていた。

テレビ局や新聞・雑誌社などに所属するジャーナリストは、その会社の組織的な論調、意見の方向性、あるいは、ブランドなどに束縛されて、完全に自由なスタンスで言論することはできない。それに対して、組織に属さないフリーのジャーナリストである田原氏は、そのフリーであるからこその矜持や存在意義を考えたときに、あの「朝まで生テレビ!」のようなスタイルに自然に流れ着いたのではないか、と感じている。

アインシュタインは、相対性で限界を超えていった

相対性理論で名高いアインシュタインは、次のように、書いている。

For the present we shall assume the ‘truth’ of the geometrical propositions, then at a later stage (in the general Theory of Relativity) we shall see that this ‘truth’ is limited, and we shall consider the extent of its limitation.(『Relativity: The Special and the General Theory』)

ユークリッド幾何学の命題を当面は「真実(truth)」と仮定する。しかし、一般相対性理論でその「真実(truth)」の限界を提示し、その限界の及ぶ範囲を超えていく。意訳すると、こんな感じだろう。

私たちは、既存のメディアの限界を超える、新たな方法論や理論が必要なのではないか。おそらく、それは、より相対的で多角的な視点を導入することだ。人間は無意識に自分を中心に据えて世界を観察する。それが自然だからだ。努力なしで、相対的多角的な視点を導入することは難しい。直感的には、天動説が正しい、そして、まさか地球(自分)が中心ではなかったとは思わない。

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