同作品は、2015年からクオリティ重視のオリジナルドラマ作品を製作し始めたHuluの中で、最も契約者の加入促進につながったものです。主演は玉山鉄二、その妻役が佐々木希。佐々木はこれまでのイメージを脱して大胆な濡れ場を見せ、「セックス依存症の妻」という難しい役どころを演じ切り、「女優としてのステージを上げた」とまで言われているほど。脚本家・野島伸司による「究極の試練の愛」をテーマにした野島ワールド全開のストーリー展開は、たとえ昼ドラを見る感覚で見始めたとしても、単なるエロ&ドロドロ系ドラマに終わりません。
主な登場人物は、新婚夫婦の立木信夫(玉山鉄二)と立木彩(佐々木希)。「のぶちゃん」「あや」と見つめ合って呼び合う、幸せそうな仲の良い夫婦が実は問題を抱えています。性嗜好障害の1つ、「セックス依存症」から抜け出せずにいる妻の姿と、間近で苦悩する夫。この夫婦を取り巻く、奥菜恵、笛木優子、古谷一行、木村多江、陣内孝則ら実力派俳優陣が演じる役もそれぞれ酒や共依存など「心の闇」を持ち、愛と憎しみの波がゆっくり深く、叙情的に繰り返されていきます。切なく、奥深いドラマとして見応えがあります。
それにしても、佐々木の抜擢は意外性があるのかもしれません。昨年4月にお笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建との結婚を発表し、奇しくも役と同じ新婚状態。結婚後の出演作品ということで、キャスティングする側としては話題作りになりますが、実際はどのような経緯で決定されたのでしょうか。Huluオリジナルドラマを製作統括する毛利忍エグゼクティブプロデューサーが当時のことを教えてくれました。
話題性を期待する以上にピンとくるものがあった
「難しい役なのでどなたにお願いするか、割と難航していたところ、キャスティング会議で佐々木希さんの名前が挙がり、結婚の話は知りませんでしたが、話題性を期待する以上にピンとくるものがありました。事務所もご本人も、女優としてちょうど次のステップを考えているタイミングなのではないかと思いました。オファーさせてもらったら早い段階でお返事をいただけたので、確信しました」(毛利氏)
劇中でも潔く、佐々木が際どい濡れ場のシーンを見せています。一方、役者陣の中で一番悩んでいたのは主演の玉山鉄二だといいます。キャリアを積んできた玉山でさえも「脚本を読んだ段階では、立木信夫の心理が理解できなかった」そうです。衣装合わせの時点になっても「どうしたらいいかわからない」と悩み、役作りのために長時間、制作陣と話し合ったという、そんなエピソードもあるほど。そんな過程を知ると、「玉山が作り出す苦悩の顔が特に女性視聴者から反響を得ている」という事実に納得させられます。見ればきっと、苦悩顔のバリエーションがこれほどにあるのかと、思い知らされることでしょう。
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