東大の入試問題は難しすぎると思う人の盲点

「知識」よりも「頭のやわらかさ」が必要だ

それは「きちんと身の回りから学ぼうとする姿勢を持っている人は成長しやすいから」です。I.ニュートンはリンゴが落ちる様子を見て、万有引力を発見しました。東大の授業でも、「渋谷駅の構造について考える授業」「普段使う日本語について考える授業」など、日常のささいなことから学問をスタートさせる授業がたくさんあります。

東大に受かるとか、志望校にどうしても合格しようとか、そればっかりを考えていると、日常のささいな疑問を見落としがちです。中学生のほうが知的好奇心を持っていたりします。東大は、この問題を通して「きちんと身の回りから学ぼうとする姿勢」を試したのかもしれませんね。

東大輩出者ゼロの無名校のビリ(偏差値35)から東大合格を果たした筆者は、50年分の東大入試問題を分析しました。その結果わかったことは、「どんな人でも、頭がやわらかければ解ける」ということでした。極端な話、知識ゼロであっても、頭さえやわらかければ解ける問題がたくさんあったのです。

知識ばかりあっても現実の問題を解くことができない

一方、東大に次ぐ難関校である京都大学、また私学トップクラスの早稲田大学や慶應義塾大学では、知識がなくても解ける問題はあまり出題されていません。そのため、「東大は合格したけれど、早稲田大学や慶應義塾大学は不合格だった」「東大の問題は解けそうだったけど、京大の問題は難しくて解けなさそうだったから東大を目指した」と語る東大生も一定数存在しています。

『現役東大生が教える東大のへんな問題解き方のコツ』(日本能率協会マネジメントセンター)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

なぜ、東大は知識量を問う問題ではなく、頭のやわらかさを問う、知識がなくても柔軟な発想さえあれば解くことのできる「へんな問題」を出題するのでしょうか。それは、知識ばかりあっても現実の問題を解くことができないから。高校で習う数学や物理をマスターしたところで、すばらしい建物を建てることはできません。

同じように、学んだことを現実社会に応用するためには、知識そのものではなく、知識をいかに運用するかのほうが重要なのです。

日本一の大学は、それを全国の受験生に伝えたくて、こういった問題を出題し続けているのではないかと私は考えています。

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