昭和のオフィスが金融と技術の最先端の場に

大手町ビルヂングはこうして受け継がれた

1958年竣工の大手町ビルヂング。建て替えが進む丸の内・大手町エリアで、昭和の重厚なオフィスビルの雰囲気を残す貴重なビル(写真・三菱地所)

近年の大手町では、1960~1970年代の高度経済成長期に建ったビルが、次々に超高層ビルに建て替わっている。

本記事は『東京人』2018年5月号(4月3日発売)より一部を転載しています(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

以前はオフィスばかりだった街には、ホテルやサービスアパートメントなどもできて、オフィスワーカー向けの飲食店にも今時の人気店やおしゃれな店が並ぶようになった。

そんな大手町で未だに昭和の趣きを保ち続けているのが、この街の中心で巨大な敷地面積を占めている「大手町ビルヂング」だ。

1958(昭和33)年築で、今年で60周年。太平洋戦争後の戦後復興期の一大プロジェクトとして建設されたオフィスビルである。敷地面積は約3000坪、ビル内を貫通する廊下の長さは200mという、当時東洋一と言われた規模。その当時最新の全館冷房も導入されている。

内装では大理石、列柱の表層には生物の化石も

メインエントランスやエレベーターホール、階段には、トラバーチンと呼ばれる、現在ではオフィスビルの内装として使われることは稀な大理石が使われ、列柱の表層には太古の生物の化石が発見できたりもする。各階の床は、モルタルに石を混ぜて左官仕事で仕上げる擬石(テラゾー)製で、1960~1970年代のビルの床にはよく用いられている手法だ。

大理石の列柱、テラゾー床などが印象的な1階のエレベーターホール(写真・三菱地所)

「階段の踏み板やテラゾー床の模様の目地、エレベーターの乗り口などには真鍮が用いられており、これが常に美しく金色に光るのは、60年の歳月、清掃スタッフが磨き上げてきた証しです」と、三菱地所ビル運営事業部で大手町ビルを担当する井上祐介さんが教えてくれる。

1階の長い長い廊下は、ビル内にある路地のようにも利用されているようだ。書店やカフェなどが並び、花屋さんとメガネ屋さんは竣工以来のテナントだとか。

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