卓球で「公式ボールの製造国が有利」は本当か 国際基準はあるが、国によって微妙に異なる

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そのため、いかに継ぎ目を小さくするかが、メーカーの腕の見せ所といえる。そして日本のニッタク製のボールはその継ぎ目がドイツ製や中国製と比べ小さく、規則正しいバウンドを可能にしている。

左からドイツ製、日本のニッタク製、中国製のボール(写真:ニッタク提供)

こうした品質の高さが認められ、1988年に卓球がオリンピック公式種目となってからオリンピックでも3回(1992年バルセロナ、1996年アトランタ、2012年ロンドン)大会使用球に選ばれている。

ニッタク製のボールはすべて茨城県古河市にある工場で生産され、材料は化学メーカーの東レと共同で専用特殊素材を開発している。前述の「プラ3スタープレミアム」は1球あたり360円(税別)と安くはないが、こうした品質へのこだわりがその値段につながっているようだ。

茨城県古河市にあるニッタクの卓球ボール工場(写真:ニッタク提供)

「原料価格が高騰し、研究開発費も先行してかかるため、正直ボールでそんなに利益が出ているというわけではありません。

ただ、選手にとって安定性の高いボールでプレーしていただけたらと思います」と沼田取締役部長は話す。

ボールに合わせたラケットも開発

ニッタクはボールに合うようにラバーやラケットも同時開発。「卓球は人間が作り出す最大の回転数を出せる競技。トップ選手のサービスやドライブでは、1分間に8000から1万2000回もボールは回転している。ボールの回転をいかにラバーで捉えるかという高分子化学の世界でもあるのです」と沼田取締役部長は話す。

ニッタク製ラケットやラバー、ウェアを伊藤美誠選手も愛用(写真:筆者撮影)

選手個人だけでなく、その選手がどこの用具を使っているのか、どこのボールが公式球に採用選択されているのかも、試合を楽しむ1つの要素になるだろう

現時点では10月日本で開幕予定のTプレミアリーグや東京オリンピックでどのメーカーの公式球が採用されるかは決定していない。2020年に創業100周年を迎えるニッタクにとって、採用されれば『メード・イン・ジャパン』のこだわりを広く発信できるチャンスとなるだろう。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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