実際、アジア卓球選手権以外でも日本メーカー・ニッタクのボールが公式球に採用された2017年の世界卓球選手権(デュッセルドルフ大会)では、混合ダブルスで石川佳純選手・吉村真晴選手ペアが優勝するなど日本選手が好成績を収めた。
もちろん実力なくして勝利はないが、メーカーが違えばボールの跳ね返りや回転のかかりやすさなどが変化し、ボールの動きを予測するのがより難しくなる。
公式球の基準はあるものの…
国際大会で使用されるボールについては、国際卓球連盟(ITTF)の公認検査をクリアする必要がある。重量・サイズ・はずみ・転がし・硬さ・真球度・色などの項目で基準値をクリアしたボールのみ、ITTF主催大会で採用される資格を得る。
ただ、基準値は重量で0.10グラム内、サイズで0.60㎜内といった誤差範囲が認められているため、メーカーによってわずかな差が生まれ、結果的にボールの動きもやや違ったものになるのだ。
「卓球のラリーは一流選手同士では0.2秒で打ち合っているといわれています。これは、複雑選択という卓球に求められる反応時間をはるかに上回る速さです。
自分が打球した瞬間に、相手の次球の軌道を予測しなければ、世界トップレベルのすばらしいラリーは成立しません。予測を可能にする絶対条件が、ボールのバウンドの規則性です」とニッタクの沼田一十三取締役部長は解説する。
ボールが規則正しいバウンドをするには、ボールの厚みが均一である必要があるが、これには高い製造技術を要する。
そもそも卓球ボールは2つの半円を接着し製造される。このボールの継ぎ目が大きいと重量規定があるため他の箇所を薄くしなくてはならず、生地の厚みが不均一になる。するとボールに力を加えた際に一定部分に負荷がかかり、「割れやすい」ボールになるほか、球にぶれが生じ、イレギュラーバウンドのもとになる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら