メディアが「フェイスブック離れ」をする事情 なぜユーチューブへ乗り換えるのか?

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「YouTube上にはビデオ視聴を中心に据えたユーザーがより多く存在しているので、ティーザーや長期的なプログラムをローンチするのにYouTubeは、Facebookよりは適した実験場所となっている。

いくつかのエピソードをYouTubeに公開し、それを番組の基本コンセプトとしてOTTやほかのプラットフォーム外のパートナーにプレゼンテーションする。彼らによって番組の本格制作が実現すれば、その制作資金やレベニューシェアを通してマネタイズするという戦略が取られている」と、ロスマン氏は語った。

ハウス・オブ・ハイライツのYouTubeチャンネルはまだ開始してから1カ月程度しか経っていない。しかし、彼らはすでにオリジナルの脚本を用意した番組の実現を模索しはじめている。これまではスポーツの試合のハイライト集をメインにアップロードしてきたことと比べると、大きな違いだ。

「YouTubeは長期における視聴を優先する場所だ。また集中して視聴されている場所でもある。Facebookやほかのプラットフォームではユーザーは動画をスクロールをして通り過ぎてしまう。そこには驚きの要素が必要となる」と、バーンスタイン氏は言った。

サーティー・ファイブ・メディアはまた、デュラント選手のYouTubeチャンネルのコンテンツも制作している。彼のチームメートであるジャベル・マクギー選手が出演する「パーキング・ロット・クロニクルズ」や役者のマイケル・ラパポート氏が出演するコメディー・シリーズなどが、そこに含まれる。

そして、クライマン氏はYouTubeとミーティングを重ねてきた。そこでは、エピソード形式の番組をYouTube Redなどに制作することが議題となっている。YouTube Redは、YouTubeの定額視聴サービスだ。

「常にプロジェクトを売らないといけないのではなく、YouTubeチャンネルに何かをアップロードして、ファンベースを構築すれば、YouTube Redのコンテンツとして出世させることができる。もしくは番組がうまくいくなら、YouTube上のどこでもいい。大手のネットワークにピックアップされる可能性もある」と、クライマン氏は言う。

収益がすぐに発生すると期待すると危ない

しかし、多くのメディア企業がYouTubeに価値を見出しているとは言え、そこに投資しすぎることには注意しなければいけない。これはほかのプラットフォームでも同じだが、収益がすぐに発生すると期待すると危ないわけだ。

リファイナリー29は1年半前にYouTubeにより大きなフォーカスを置きはじめた。そして、2017年の後半には、彼らは定期的な視聴者をより多く発掘するために、シリーズ物に集中しはじめている。それでも最高コンテンツ責任者であるエイミー・エマーリッチ氏は慎重になっている。

「(チャンネルをプロモーションするための広告を)購入していない限りは、ほんの数日でYouTubeチャンネルを成長させることはできない。(広告を購入してチャンネルをプロモーションしたとしても)YouTubeは、『それは長期的には良いプランだ』とは言わないだろう」と、彼女は語った。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:塚本 紺)

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DIGIDAY[日本版]編集部

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