タワークレーンはどうやって屋上に上がるか 意外と知らない、身近にある「すごい技術」

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ゴミ収集車には、パッカー車以外にもいくつかの方式(プレスローダー方式など)があり、大きさの違いもあるが、この多様性には理由がある。1つは、集めるゴミ・集める地域に適した方式と大きさが要求されるという、至極当然の理由だ。

ゴミ処理施設の建設費が高騰している

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もう1つ隠れた理由がある。ゴミ処理施設の建設費が高騰しているのだ。処理施設、特に焼却施設は公害対策のため高度な技術が要求される。また、エコ社会の実現に向け、燃やした廃熱で発電する施設を併設するのも時代の流れだ。当然、建設コストは膨大となり、小さな自治体が建設するのは財政的にも困難。そこで、いくつかの自治体がまとまって1つの処理施設を作り、利用するというネットワーク方式が一般的になりつつある。

ネットワークに対応するには、多様なゴミ収集車が必要になる。家庭からのゴミは小型収集車で中継施設に集め、そこでさらに圧縮して大型収集車で処理施設に運ぶ。このようにして、効率的なゴミの移動と処理を可能にしているのだ。

ネットワーク化されるゴミ収集(イラスト:小林哲也)

この記事では、私たちが日々の外出時になにげなく目にしている“すごい技術”を簡単に解説したが、「身近なのにそもそもよく知らない」ことは、あなたの身のまわりにも実はたくさんある。ちょっとだけ目を留めてみるだけで、日常がもっと楽しく、より刺激的なものになるかもしれない。

涌井 良幸 サイエンスライター

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わくい よしゆき / Yoshiyuki Wakui

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後は著作活動に専念している。

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涌井 貞美 サイエンスライター

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わくい さだみ / Sadami Wakui

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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