49歳「アラフィフ残業貴族」を襲った年収減 年収1000万円超の「中身」が問われている

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まだ法案は通っていませんが、高年収の専門職の人にとっては「残業ゼロ法案」も気になるところです。正式名称は「高度プロフェッショナル制度」といい、年収1075万円以上の高度な専門職についている人は、残業の支払い対象から外すという内容です。いろいろな意見があるのは承知していますが、法案の本来の狙いは、時間ではなく成果で評価するという仕組みを導入することです。また、この法案と関係なく、職種にもよりますが、報酬は何時間働いたかではなく、一定の成果を反映して支払われるべきでしょう。

世の中の流れが「無駄な残業削減」の方向にいっている以上、残業代を当てにした生活を送っていると、残業代がもらえなくなったときに生活が苦しくなります。

残業に時間を使わず、自己投資に時間を使う

もちろん、解決策がなくてはいけません。すでに残業ありきで生活していた場合には、大幅な生活のダウンサイズが求められます。お聞きすると、B男さんの場合は、以前に契約した住宅ローンの金利が少し高いままだったので、借り換えを実行し、毎月の返済額を減額しました。ほかにも車を手放したり、保険を大胆に見直しました。

また、日常の細かい費目にも、一つひとつメスを入れていきました。例えばランチは従来ほぼ毎日、同僚や部下と外食していました。また休日についても、趣味のゴルフに行ったり、奥様と歌舞伎を鑑賞したりと、B男さんのお小遣いや、余暇を楽しむ費用がかなり多かったのです。B男さんは奥さんと合意、お小遣いを相当減らし、ランチにはお弁当を持参。職場での飲み会にも以前は頻繁に参加していたのですが、誘いがあっても、口実をつけたりして、飲み会によっては上手に断るようになりました。

高校に通っている娘さんの教育費の確保を最優先させたこともあり、B男さん一家の暮らしはそれまでとは大きく変わりました。しかし、幸い、残業代がなくても赤字にならず、少しだけ貯蓄ができるレベルにまで家計が改善されたのです。

これからの働き方の評価は、一段と「時間」から「成果」へと変わっていきます。これは、評価の軸が成果に変わることで、たとえば、1日3時間、4時間しか働かなくても仕事で成果を出せば、それなりの収入がもらえる可能性があるということです。

仕事で成果を出すためには、読書やセミナーに参加することで知識・スキル・人間力を高めたり、人間関係を充実させるためにコミュニティや会合に参加して人脈を作ったり、健康のために体を鍛えたりと、自分自身に投資して、自分の能力、価値を高めていくことが必要です。

また、残業がしにくくなる代わりに、副業は認められる方向になっています。私たちのお客様の中にも、能力を磨き会社員の傍ら副業し、収入を得ている人はたくさんいます。

今回のB男さん一家のような、節約による家計見直しはもちろん重要ですが、収入経路を増やしておくことも大事なポイントです。おカネ自身におカネを生み出してもらうべく、投資の準備もしておくべきでしょう。無駄な残業をせずに余った時間で、その分、「自分」という資産と、良い金融商品の両方に投資したほうが、長い目で見ればリターンは大きくなるはずです。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

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よりふじ・たいき / Taiki Yorifuji

(株)Money &You 代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職へ。Webメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通してお金の情報を日々発信中。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『60歳からの新・投資術』(青春出版社)など書籍90冊、累計160万部超。日本年金学会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

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