20代は「何のために仕事をするのか」と考える 部下の素朴すぎる質問にどう答えるべきか
若者達は使命感に燃えるオッサンたちに対して、「それは誰からの使命なんですか?」「本当に誰か期待をかけてくれているんですか?」「誰がそれで得をするんですか?(誰得)」と聞いているのです。オッサン世代が、社会や世の中に対して、誰も文句のつけようもない明確な価値を提供できていれば、若者も「使命感」とやらに目覚めるかもしれません。
しかし実際には、社会正義のような面をして個人のプライバシーを暴いたり、自分の実績を作るために後世に負債を残すような施策を平気で行なったり、大義名分を掲げて実際には機能しない誰得ルールを作ったりしているわけです。オッサンたちが「利他的な使命感」と言いながら利己的な行動に走っているのを、若者は気づいて疑問を呈しているように思えてなりません。
若者は自分の「使命」がまだわからない
昔の維新の志士のような人々が、本当の意味での「使命感」に燃えて、自己犠牲を厭わずに、国や世の中の人々のために働いたということに異論はありません。私も憧れますし、そんな生き方をしたいものだと思います。ところが、今、本当の「使命感」を持って、仕事をしているオッサンたちはどれだけいるでしょうか。
一方で多くの若者は、まだ自分の「使命」がわからず、「使命感」に飢えています。採用や育成のシーンでも、最近の若者のほうがよっぽど社会的価値を大事にしている人が多い。それが証拠に社会起業家のような「使命」を見つけた若者たちは、オッサンたちを尻目に、立派な働きをしています。しかし、彼らは自分を偽ったりしません。「使命感」を持てないなら、何らか「動機」を得なければ、大変な仕事を続けることなどできないという正直な気持ちを吐露しているだけです。
「使命感」を持ちにくい時代だから、正直に生きる姿を見せてしまえばいい
我々オッサン世代も、少し前の先人たちに憧れるのはいいのですが、だからと言って、「俺は使命感で仕事をしている」などと嘯(うそぶ)く必要はないのです。今の社会は昔よりも複雑で価値観も多様化しており、誰にとってもそう思える何か明確な悪があるわけでも、敵がいるわけでもなく、「使命感」の持ちにくい時代です。
「俺だって、何のためにやっているのかわからない」「とりあえずどうせやるならこんな風に楽しもうと思っている」「こうしたら自分にとって得かなと思っている」――そんな風に若者達に向かって、正直に言ってしまえば良いのです。そのほうが、おそらく若者たちからも不審がられず、むしろ共感を持ってもらえるのではないでしょうか。
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
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