スマホを捨てれば子どもの偏差値は10上がる 「ながら勉強」が子どもに与える深刻な影響

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睡眠時間が6時間未満の生徒たちの成績は、スマホ等の使用時間によらず全般に低いことがわかる。寝不足が学力を押し下げることは、紛れもない事実なのだ。加えて、睡眠時間の長さにかかわらず、スマホ等の使用時間が長ければ長い生徒ほど成績が低いことが見て取れる。

ここまでのデータで、スマホ等の使用による成績の低下は、学習時間とも睡眠時間とも直接は関係していないことがわかった。スマホを長時間使ったことによって家での勉強時間が削られるから学力が低いわけではない。スマホを長時間使ったことによって睡眠時間が削られたために学習の記憶の定着が悪く学力が低くなったわけでもない。すなわち、スマホ等の使用が直接に成績に影響を与えている可能性が高いということだ。

学力に強い影響を与えるアプリは

次いで考えたのは、スマホ等を使用したから成績が下がったのではなく、もともと成績の低い生徒達はスマホへの親和性が高いのではないかということだ。要は、原因と結果を取り違えている可能性はないかと考えたのである。

そこで、匿名化を行ったうえで全ての児童・生徒の追跡調査を開始した。児童・生徒の個人情報は我々には開示されないが、その子にいわば背番号を付ける方式で、生活習慣と学力の経年変化を追跡調査できるようにした。

その結果、

①スマホ等を使用しないと良い成績が向上していく
②スマホ等を使用し続けると悪い成績がさらに悪くなる
③スマホ等の使用を開始すると良かった成績が低下する
④逆に使用を止めると成績が向上する

 

以上4点が明らかになった。つまり、もともと成績の低い生徒達のスマホへの親和性が高いのではなく、スマホ等を使用しているから学力が低下しているのだ。

では、スマホ等の何が学力低下をきたしているのか。調べもの学習のための使用と、ゲームプレイや動画視聴では影響が異なるであろう。そこでアンケート調査にスマホ等をどのような目的でどのくらい使用しているかの項目を加えて解析を行った。

結果の詳細は拙書「スマホが学力を破壊する」を参照されたいが、LINEに代表されるインスタントメッセンジャーの使用が、最も学力低下の影響が強いことがわかった。追跡調査結果でも、強い負の影響が証明された。

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