ベトナムの女性が体型維持に気を払うワケ アオザイとノンバイトー、伝統品の蘊蓄100章

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41. ホーチミン市のアオザイは花柄をはじめ柄物が多く、ハノイ市は比較的シンプルでシックなものが多い

42. アオザイはオーダーメイドが基本で生地選び~採寸、そして縫製の完成まで3日ほどを要する

43. 正装とされるベトナムでは結婚式や卒業式、国民の祝日などに着用するため、ひとり2~3着はアオザイを所有

44. 一度仕立てたアオザイは太ってしまうと着られないため、ベトナム女性は体型維持の意識が高いとされる

45. 一方で男性用のアオザイは縫製にも余裕があるため、女性用に比べゆったりとした雰囲気を持つ

46. 現代では男性用アオザイの着用は結婚式の新郎や伝統芸能の演者等に限られ、街中で目にすることは稀である

47. アオザイと並びベトナム土産として観光客にも人気が高いのが、ベトナム全土で用いられる「ノンラー」だ

日よけに使われることがメインだが、多少の雨にも耐性がある葉笠(写真:hadynyah/iStock)

48. これはラタニアの木の葉を使って製作される円錐形の「葉笠」のことで、男性用と女性用がある

49. 日よけに使われることがメインだが、多少の雨にも耐性があり、通気性よく頭を守ってくれる

50. ベトナム全土で生産されるが、特に中部にある古都フエは品質が高く、ノンラー作りで生計を立てる職人も多い

51. なかでも特に美しいとされるのがフエ特産の「ノンバイトー」と呼ばれる葉笠だ

52. これは二層になった葉の間に切り絵などを挟んで作る伝統工芸品で、光にかざすとフエの情景や詩が浮かぶ

フエからはさまざまな伝統技術品が生まれている

53. ノンバイトーのみならず、かつて阮朝の王宮があったフエからはさまざまな伝統技術品が生まれている

54. カラフルな「ベトナム漆器」もそのひとつで、宮殿などの塗料として使用された漆の技術がもとになっている

55. 阮朝の第2代皇帝を務めたミンマン帝(在位1820~41年)は既存のものにとらわれない自由な芸術を奨励した

56. 彼は邸宅を築く際、伝統的な赤や金色のみならず、人々が目にしたことのない青や黄、緑色などの漆塗料を使用

57. 当時、ミンマン帝は欧州や中国から新しい顔料を取り寄せ、カラフルな「色漆」を誕生させたといわれている

58. また1930年代のフランス領インドネシア時代には、欧州の油画に触発された画学生たちが画材として漆を使用

59. 彼らによって色数が増えただけでなく、漆に卵の殻や金箔を貼り、さらに漆を重ねる新しい表現も生まれている

60. ホーチミンの雑貨店などにはいまもオレンジやピンク、グリーンなど他国には見られない鮮やかな色漆器が並ぶ

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