61. 多彩な色数を誇るベトナムの伝統技術品といえば「ベトナム刺繍」も外せない
62. ベトナム刺繍は王族たちの衣装を飾るために専門の職人が育成されたことから、その文化が開花したといわれる
63. 職人たちは熱帯地方の自然を表現するために、たくさんの色糸を使い、絵画のように縫い上げる技術を生んだ
64. 元来ベトナムには各山岳民族に伝わる刺繍文化があったが、王族たちの衣装を飾ることでさらに洗練された
65. なかでも刺繍村として名高いのがハノイ郊外の「クアットドン村」である
66. 17世紀にレー・コン・ハインによってこの村に刺繍文化が伝わったとされるが、緻密で繊細な手刺繍が特長
67. 村には小さな工房があるだけで職人も少ないが、自然をモチーフに写真のようにリアルな刺繍技術は圧巻だ
中国陶器の影響を受けながらも
68. 一方、同じハノイ近郊にあるバッチャン村は「バッチャン焼」と呼ばれる伝統陶器の村として知られている
69. バッチャン村で陶器の制作が始まったのは14~15世紀頃。当時は他にも陶器を作る村は存在した
70. しかし紅河のほとりに位置するバッチャン村は輸送面で有利で、アジアや欧州などにも多く輸出された
71 バッチャン焼は中国陶器の影響を受けながらも自由でのびのびとした作風を確立し、旅行者にも人気が高い
72. 一見すると日本の陶器とも似ているが、バッチャン焼はろくろを回さず、粘土を型に流して圧して成型する
73. また身近にある自然をモチーフにした素朴なデザインで、絵付けは竹の棒とブラシでひとつひとつ手描きされる
74. ポピュラーな絵柄として知られる「トンボ」は幸運を、「菊」は豊作・金運を、「蓮」は純粋を表すという
75. バッチャン村で制作されたもの以外はバッチャン焼とは名乗れず、村の9割以上の住民が陶器に携わっている
76. 現在のバッチャン焼は、湯飲みや醤油さし、カップ&ソーサー、マグカップ、茶碗、大小皿など豊富な種類がある
77. 小皿やレンゲなどの小物は日本円で100~200円程度と安価なものも多く、日常使いにもとても適している
78. ベトナムには「ランタン」などの灯りで住居を明るくすることで自身の成功や家族の繁栄を願う風習がある
79. なかでもランタンの街として知られるのが、ベトナム中部の古都ホイアンだ
80. 2世紀~17世紀に中部海岸地帯を治めたチャンパ王国の港町で、ベトナム最後の王朝・阮朝の外港でもあった。
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