ベトナムの女性が体型維持に気を払うワケ アオザイとノンバイトー、伝統品の蘊蓄100章

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81. ホイアンは貿易港として栄え、16世紀以降は中国、日本などアジア諸国に加え、欧州からも多くの商人が来航

82. 1601年には徳川家康と正式国交も行い、最盛期には500~1000人近い日本人が暮らし〈日本人街〉も形成した

83. しかし江戸幕府の鎖国によって交流が途絶えると、その後は中国商人が移住し中国文化が栄えるようになった

84. その影響でホイアンには中国風の紙製や布製の提灯=ランタンが広まり、夜になると街に灯されるようになる

世界遺産の町・ホイアンでは、毎月満月の夜にランタン祭りが行われている(写真:nvlinh12t/iStock)

85. ベトナム土産としても人気が高いホイアンのランタンはすべて手作りで放射状に伸びる軸は「竹」でできている

86. 職人たちはその素材となる竹を選別することからはじめ、竹を割って日光で乾燥させたのちに形に合わせて切る

87. 両端は紐のついた木製のリングで止められ、成型することでランタンのフレームが完成する

88. フレーム完成後、その外側に伸縮性のあるカラフルな布や絹織物のベース地を接着剤で貼り付け

89. そのベース地の上からさらにデザイン柄の入った生地を重ねて貼り付けることで装飾性がさらにアップする

90. ひとつのランタンの完成には4日間ほどかかるといわれるが、近年では竹のみならず木製や金属製のものもある

日中は発光具合もわかりづらいため、購入は夜が吉

91. ホイアンの旧市街には色とりどりのランタンが店頭に並ぶが、実際に灯りをつけて発光具合を確認して購入する

92. 日中はわかりづらいため、夜のナイトマーケットで購入するのがよいともいわれる

93. またコンセントは形状・電圧が日本と異なるため、日本で使用する場合は変圧器と変換プラグが必要となる

94. ベトナムに限らずアジア諸国の祭りにはランタンや提灯が欠かせないが、ホイアンでは正月にも飾られる

95. ホイアンのランタンにはベトナムの「桃」や「黄色い梅」など縁起がいいとされる図柄が施されていることが多い

96. 公園や広場、自宅前などに吊るされるランタンには〈幸福が訪れるように〉という願いが込められている

97. ホイアンはベトナム戦争の戦火を免れ、開発からも取り残されていたため18世紀の古い町並みがそのまま残る

98. その希少性から1999年に世界遺産に指定され、現在では毎月満月の夜になると「ランタン祭り」が行なわれている

99. その夜、各家では電気を使用せず布製のランタンに灯りを灯し、古いホイアンの街は幻想的なムードに包まれる

100. 旧市街は徒歩で散策可能なほどコンパクトゆえ晴れた夜には美しい満月の下、タイムスリップ気分を味わえる。

(文:寺田 薫/『モノ・マガジン』2018年4月2日特集号より転載)

参考文献
参考文献・HP:『アジア・中近東・アフリカの民族衣装』(グラフィック社)、『ベトナム雑貨と暮らす』(河出書房新社)、『地球の歩き方』(ダイヤモンド・ビッグ社)、VIETJO、アパレルリソース・イン・インドシナ、ベトナムスケッチ、ベトナムナビほか関連HP
モノ・マガジン編集部

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『モノ・マガジン』はワールドフォトプレス社が発行するモノ情報誌。原則、隔週で発行している。公式サイトhttp://www.monomagazine.com/

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