21. この法令によって男性・女性それぞれのアオザイの形が決まり、それは今日のアオザイに近しいものであった
22. しかし当時のアオザイは茶や黒といった地味な色合い。それを現代風に変えたのがグエン・カット・トゥオンだ
23. インドシナ美術学校の卒業生で、ハノイの画家としても活躍していた彼は1930年代に西洋的なアオザイを発表
24. 上衣を地面につくほど長くし、くびれを作り、正面のボタンフライを体左側面に移すなど伝統を大胆にアレンジ
25. 中国風の立ち襟のみならず襟形も多様でフリル使いや袖をパフスリーブにするなど細部に欧州風装飾を施した
26. 斬新なデザインは女性解放に積極的なインテリ層や王族に支持されたが、性的魅力を喚起するとして批判の的に
27. 勢いを失ったカット・トゥオンは1946年にフランスとの武力衝突が起こるとその混乱の中、行方不明となった
28. 1960年代に入るとベトナムは自由の空気にあふれ、カット・トゥオンのデザインが再評価されることになる
29. 1960年代前半にはベトナム共和国(南ベトナム)の大統領顧問ゴ・ディン・ニューの妻が丸首のアオザイを考案
30. ホーチミンではラグラン袖のアオザイも登場し、以降、ラグラン袖が主流となっていく
31. 1960年代後半には世界的なヒッピーブームを受け、上衣丈の短いミニタイプや幅広いパンツのアオザイも誕生
32. 近年ではジーンズにコーディネート可能なアオザイなど、そのデザインはますます豊富になっている
ベトナム人精神の象徴でもあるアオザイ
33. 一方で伝統的なアオザイの美しさを守る動きも活発化し、2014年にはホーチミン市に「アオザイ博物館」が開館
34. ベトナムを代表するアオザイデザイナーであるシーホアンが開設したもので17世紀以降のアオザイを展示
35. 博物館の建物はベトナム中部の旧家を移築したもので、ベトナム文化とアオザイの歴史を体感できる
36. アオザイはデザインの優美さのみならず、古代から伝わるベトナム人としての振る舞いや精神の象徴でもある
37. ベトナムの高等学校や大学では女子学生向けに純白のアオザイを制服として採用しているところもある
38. アオザイの素材は高級な絹など様々あるが、ベトナムは高温多湿ゆえ上衣は一重仕立てで「木綿製」が一般的
39. またその下に履く「クワン」と呼ばれるパンツは薄絹やレーヨンを用いることが多い
40. かつて女性用のクワンは日常着の「青」、未婚用の「白」、既婚用の「黒」などがあったが現在はカラフルに展開
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