テレビ番組は、日本よりよっぽど面白い?
この香港メトロへの怒りはいったん置いておいて最後に申し上げると、上海はテレビが面白い。出ている司会者も議論に参加する人も知的な人が多く、討論番組を見ていても勉強になることが多いのだ。また言論の自由がないのでは、と思われがちな中国だが、テレビの討論番組では、日本よりよっぽど双方の視点について自由闊達に論議がなされている(もちろん番組によっては全面的に政府見解のみが報道されることもあるのだが)。
「一虎一視談」というたいへん面白い討論番組があるのだが、ここでたまたま日本の右傾化と再軍備問題について議論がされていた。
そこで中国の学者が大まじめに「日本に軍隊のない非正常な状態でい続けよ、というほうがおかしい」「釣魚島(尖閣諸島)の問題にしても、中国側の視点ばかりで話さず、日本側の視点も理解するようにしないと、お互いが自分たちの視点だけ声高に叫ぶのでは何も解決しない」「日本が右傾化していると言うが、戦前のような軍国主義になるわけはない」「日本は親切で優しい一面と、一度、自分たちより下とみなすと徹底的に残酷になれる二面性があるので、その両面を見なければならない」「戦時中の虐殺行為は許せないが、戦後の最大の援助国が日本なのは確かだ。文革以降、欧米が尻込みしているときも日本は果敢に投資してくれた」と、何かと冷静に日本側の視点も取り入れた議論がなされている。
これはとにかく嫌韓・嫌中一色にそまる三流週刊誌と四流評論家だらけの国より、大衆メディアの知的水準は高くも感じられる。東京が抜かれているのはビルの高さだけではないのかもしれない。経済規模や軍事力、ビルの高さだけでなく、人間の礼節・知性・視点の広さ・国際感覚という意味でも、各国間で健全な競争がなされることを祈りつつ(「東洋経済オンライン」の読者の皆様はもちろん、断トツでこの健全な競争に連戦連勝なのだが)、台風に見舞われている真っ暗の街に繰り出す上海の早朝であった。
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