実際には、経済はいまだに好調
なお今でも“中国崩壊論”が日本のメディアをにぎわしているが、なーんにも知らないのに知ったかぶって、性懲りもなく中国経済崩壊論を書いている人たちに惑わされてはいけない。彼らは大抵結論ありきであり、誰かが書いていることを又聞きで書いて、カットアンドペーストして“てにをは”を変えているだけである。
私の上海在住の友人の話(ずっと中国に生まれ育ち、復旦大学で経済学を学んだ人なのでよっぽどあてになる)によれば、“経済崩壊”などの実感はまったくないという。そもそも内需が大きいので、欧州や米国の金融危機の影響は(財政・金融政策の効果もあって)実感することはほぼなく、給料も毎年30%くらい上がり続けている。
彼女は外資系のアパレルメーカーで在庫管理をしているのだが、管理職を雇うのが人材不足で難しいのみならず、店頭に並ぶバイトですら需給が逼迫して雇いにくいと嘆息する。
なおグローバル企業で働く彼女たちの現地サラリーを聞いてみたところ、その額はもはや東京と変わらない――というより、東京で働く大学の同期より稼いでいる。当然、まだ月収5000元程度で暮らしている人も多いのだが、私が大学時代に来たときは1カ月1000元ほどの収入で暮らしている人も多かったので、実に15年で給料が5倍くらいになっているのが肌感覚で伝わってくる。
ちなみに中国で不動産バブルがはじけて、日本のバブル崩壊の二の舞で金融危機が起こり……みたいな暴論が一部でまかり通っているが、レバレッジをエクイティの10倍、ないし20倍かけて不動産を転がしていた日本のバブルと異なることに留意しよう。
不動産金融引き締めのために不動産購入時、エクイティが資産価値の半分という十分な自己資金出資が求められているため、不動産価格が下がっても個人の損失で随分吸収され、不動産価格の低下に起因する銀行のクレジットクランチは、当時の日本に比べよっぽどコントロールされているのだ。
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