「血縁者」との結婚が産業革命後に減った理由 世界最大級の家系図で明らかになったこと
「世界中の人が、自分の家系図作りに膨大なエネルギーを費やしている。それを活用させてもらえば、人類について解明できることがいくつもある」と、ジェニ・ドットコムを運営するイスラエル企業マイヘリテージ(MyHeritage)のヤニブ・アーリック最高科学責任者(CSO)は語る。
「これはビッグデータの活用という観点でも非常に貴重だ」と、メリーランド大学のフィリップ・コーエン教授(社会学)は語る。実際、「数百万人からなる大規模家系図の量的分析」と題されたこの論文は、民間企業がクラウドソーシングによって集めたビッグデータを活用した最新例だ。
北米の「移民地図」も作成された
こうした試みは、ジェニ・ドットコムが初めてではない。やはり家系図を記録・作成する米企業アンセストリー・ドットコム(Ancestry.com)は昨年、そのデータを使って北米への移民地図を作成した。
家系図だけでなく、レストラン口コミサイト「イェルプ」のレビューデータを利用して、食中毒の広がりを追跡したり、インスタグラムのデータを使って麻薬の流通ルートを追跡する試みも行われてきた。
とはいえ、こうしたデータが社会全体のトレンドを示しているとは限らない。「民間企業がデータを管理していて、研究資金を提供している場合は、企業側の狙いが研究結果に反映されがちだ」と、カリフォルニア大学デービス校のエミリー・マーチャント教授(科学技術研究)は指摘する。