「小泉小委員会」は結局、何を議論したのか? アドバイザー・石川善樹氏が振り返る
「これからの時代の人は、自由に人生を生きる。学んで働いて、また学んでもいい。休んでもいいし、子どもと一緒に会社に行ってもいい。いろんなレールをぶっ壊そう、一人ひとりが自由に選べる100年でいいじゃないか」
まさにこれが、委員会の提言「レールからの解放」というメッセージに込められています。そして、自由にチャレンジして、仮に失敗したとしても、国家がそれを救う。それがセーフティネットです。全世代、全勤労者向けの社会保険なども議論されました。
……とはいえ、「自由すぎる人生は逆につらいんですけど」という意見も当然あると思います。ただ、何かしらの結論を出さなければならないので、今回の小泉小委員会では「自由」というメッセージになりましたが、はたして今の日本人は人生に何を望むのか、22世紀の希望はどこにあるのかという壮大なる議論は、これからも続けていかなければならない課題です。
日本を好きにさせるリーダーに
委員会では当初、外部からの専門家を招いて意見を聞いていたのですが、ある時、進次郎さんが「今日は議員だけの自由討議としよう」と言いました。正解を見つけるのではなく、意見をぶつけ合おう、と。
この日のことは、強く記憶に残っています。みんなが本音で議論をした、とても面白い会だったと思います。というのも、まとまりがまったくない(笑)。
皆さんにも、ぜひ追体験してほしいので、『人生100年時代の国家戦略』の57~62ページ(本記事末尾のスライドショー)をご覧ください。抽象論を振りかざす人、具体的な問題を挙げる人、「抜本的に変えようぜ」という人が出てくれば、「変えなくていいんじゃないか?」という人も出る始末。
言いたい放題、とっ散らかり放題です。もはやまとめるなんてことができない状況の中、最後に締めの一言を放ったのが小泉進次郎さんです。具体的に何を言ったのかは、ぜひスライドショーで確認してほしいのですが、間違いなく言えるのは、進次郎さんの最後の一言で、委員会がぐっとまとまったということです。
その証左に、この混沌たる会議が終わった後、ある議員が僕の肩を抱いて次のようなことを言いました。
「石川さん、最後の進次郎さんのアレ見たか? あれがリーダーだ。俺に足りないのは、ああいうリーダーシップなんだよなぁ……」とぼやきながら会議室を出て行ったのがとても印象的でした。
このエピソードには、さらに後日談があります。進次郎さんの締めの一言に、委員会のメンバーは感銘を受けすぎてしまい、「シーーン」と場が静まって会は解散したのですが、進次郎さん本人は、「あれ、全然響かなかったのか?!」と落ち込んでいたと、後に明かしてくれました(笑)。
ただ、リーダーシップを発揮したのは、小泉進次郎だけではありません。今回の委員会を立ち上げた、小泉進次郎、村井英樹、小林史明を、僕は「自民党の若手三銃士」と呼んでいます。
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