「小泉小委員会」は結局、何を議論したのか?

アドバイザー・石川善樹氏が振り返る

じゃあ勉強しようとなると、今度は《現在》という時間の限界が現れます。日本各地を走り回り、大いに見聞を広めたくても、国会会期中は国会に座っていなければならないし、休日は地元に帰らなければならない。いわんや海外のことなど……という状況です。

そして《未来》。これは、想像力の限界となって現れます。今回、委員会が発信した提言に「22世紀へ」という言葉がありますが、実は、同様のことが過去にもありました。

1960年、中曽根康弘氏が科学技術庁長官に就任した際に、『21世紀への階段』(弘文堂)という本を出されています。これは、当時の一流の科学者を集めてつくられた未来予想になります。

……しかし、です。この本をめくってみると、第一章に書かれているのが、「21世紀、原子力は花盛り」という未来予想です。当時は、原子力とオートメーションが想像力のすべてでしたからね。

もしかすると、今語られている人工知能やバイオテクノロジーを活用した未来像も、22世紀の人が見れば苦笑するようなものかもしれません。『人生100年時代の国家戦略』は、21世紀の政治家たちがはじめて22世紀を語ったものでもありますが、未来を想像するというのは、それほど難しいことなのです。

整理しますと、このように「過去」のことを知りえない、「現在」のことを知りえない、「未来」のことを知りえないという限界がある中で、22世紀に向けた国家戦略を考えなければならなかったわけです。

人は何をなすか?

「人生100年時代の国家戦略」を考えるうえで、次に突き当たった限界が、100年という長いスパンで、「人は何をなすか?」という問題です。

日本人の生き方は、戦後から昭和、平成と時代が進むにつれ、様変わりしてきました。平均寿命も、終戦直後は50歳でしたが、いまや90歳に迫ろうとしています。

たとえば、前回の東京オリンピックの時は、平均寿命は70歳で、定年は55歳でした。ちなみにですが、サザエさんのお父さんである波平さんは54歳だそうです。定年間近ですね。

しかし、今や平均寿命が90歳の時代です。だとすれば、いったい何歳で定年になるのだろうかと。今のままでいいのか、いやたとえば75歳まで働く時代になるのか? これだけでも、社会でコンセンサスをとるのは大変だと思います。

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