ひきこもり東大既卒生が社会復帰できた契機 日本に50万人以上いる、ニートの現実と希望

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プログラマーを目指そうにも、独学で勉強しただけで業務経験もなかったことから、「未経験からでもプログラマーになれる」求人を探し始める。そこでIT関連の知識を学びながら就職活動を支援してくれる、「ウズウズカレッジ」の存在を知った。

担当となるキャリアカウンセラーと面談、就活支援サービスでは、個人ではなく集団で学びながら就活を進めていく、ということを知らされた。研究室で孤立したことでひきこもりとなってしまったこともあり、秋田さんは集団行動やコミュニケーションへの苦手意識を感じていたが、背に腹は変えられないと参加することを決意する。

「ウズウズカレッジに参加した当初は、周囲とのコミュニケーションもあまり取ろうとせず、若干浮いている感じでした」と、秋田さんを担当していたキャリアカウンセラーは当時の印象をそう見ていた。学習に関しては他の就活生よりも進んでいたが、求人企業との面接ではコミュニケーションが堅くなってしまい、採用見送りになるケースがあった。

まずは「周りの人に自分から話しかける」

そこで担当のキャリアカウンセラーは、そんな秋田さんの状況を考慮して、こんな課題を出した。「明日から周りの人に自分から話しかけよう。勉強が進んでいない人がいたら勉強を教えてあげよう」。

この課題は、コミュニケーションに自信がない秋田さんにとって、いささか負担が大きかった。それでも、周囲に少しずつでも話しかけ始めるよううになって、秋田さんに変化が訪れる。

「自分からコミュニケーションを取るようになったことで、苦手意識も薄まり、モチベーションも高まっていった」(秋田さん)。

感情が表情から伝わるようになり、担当のキャリアカウンセラーから見ても、その変化は顕著だった。弱点が改善されてきたことで、本人も自信を持てるようになり、面接でも余裕のあるコミュニケーションを取れるようになる。そして、就活を開始して約1カ月で、ソフトウェア開発企業への内定が決まったのだ。

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