13歳と15歳の日本人が見たフィリピンの現実 僕と私は取材で子どもたちの困難を知った

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山邊:私は「貧しさ」を学ぶつもりでこの家を訪問しました。しかし逆に教えられたのは「本当の豊かさ」だったような気がしています。お別れの時、私は「ティナは自分の街が好き?」と問いかけました。するとティナは笑ってこう答えました。「うん、だって私は幸せだから」。

ストリートチルドレンも「同じ子ども」

栁田:「自分の知らない世界をこの目で実際に見てみたい」と思い応募し過ごした夏休みの9日間のフィリピン。目をそらしたくなる子どもたちの現実を、ただ目の当たりにしただけだったような気もします。しかも、「入院してしまったことでできなかったことや出会うことができなかった人もたくさんいるのではないか」と思うと残念な気持ちもあります。しかしフィリピンで出会った仲間を通して、フィリピンはもう遠い国ではなく、「僕のかけがえのない友達のいる国」、そして「これからも一生かかわる友達のいる国」になりました。

インタビューをした中でいちばん印象に残ったのは、ジュンジュンさんが「ストリートチルドレンはいつも悪いと決めつけているけど、同じ子どもだよ」と言ったことです。

同じ子ども。僕も、そして出会った子どももみんな、「同じ子ども」です。子どもが子どもらしく暮らせて、遊べて、勉強できて、そして愛情を受けられる。世界中の子どもたちみんなが持っている権利です。そんな暮らしのできる環境が子どもたちには必要なのです。

ジュンジュンさんの夢は、「ストリートチルドレンをゼロにすること」です。不可能な問題でも、小さな活動でも、続けていくことによって現状を変えていく。僕も大したことはできないけれど、フィリピンを通じて感じたことや思うことを、さまざまな場所で少しずつでも伝えていきたいなと思っています。

この小さな働きかけで世界が少しずつでも変わっていけばいいなと思います。中学1年生という僕にこの貴重な経験を与えてくれた国境なき子どもたち(KnK)にとても感謝しています。ここだけではない、もっと広い世界を僕たち子どもが実際に知るということは、僕たちが大人になるうえでとても大事なことだと思います。この旅の経験は、僕の一生を支え、影響を与え続けてくれるすばらしい宝物になりました。

フィリピンはもう遠い国ではなくなった〈写真:©️国境なき子どもたち(KnK)〉
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