戒厳令のミンダナオで起きている本当のこと

和平実現に向けてドゥテルテ比政権の正念場

マラウィ市街戦の犠牲になった民間人の遺族を見舞うドゥテルテ大統領=5月26日(フィリピン大統領府撮影)

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月23日、イスラム武装勢力との戦闘が起きたミンダナオ全島に戒厳令を布告。それから30日までに民間人を含む100人超が死亡する事態に発展した。

40年余りに及ぶ“イスラム紛争”が終結し、和平プロセスが進んでいたミンダナオ島で何が起きているのか。そこにはIS(イスラム国)の浸透を含むフィリピン、そして東南アジアのイスラムネットワークが絡んだ複雑な状況がある。

「テロリストどもを叩き潰す!」

この事件の経緯をまとめておく。ミンダナオ島の中でもイスラム教徒が多く居住するバンサモロ地域の南ラナオ州都マラウィで23日、イスラム過激派「マウテ・グループ」と政府軍の銃撃戦が発生し、マウテ側は市庁舎や刑務所、大学、病院などを占拠して、民間人を人質に抵抗を続けた。

ミンダナオ南西沖スールー諸島のイスラム過激派で、ISに忠誠を誓う「アブ・サヤフ」幹部のイスニロン・ハピロンがマラウィに潜伏しているとの情報を得て、政府軍が身柄確保に向かったところ、これを匿(かくま)っていたマウテと銃撃戦になったという。ハピロンは外国人誘拐・殺害などの容疑で米FBI(連邦捜査局)から指名手配されており、今回の作戦にも米軍関係者や米捜査機関が絡んでいた可能性が高い。

ロシア訪問中だったドゥテルテ大統領は、23日夜に戒厳令(60日間)をミンダナオ全島に布告し、予定を切り上げて急きょ帰国。負傷した兵士、犠牲になった民間人の遺族を見舞うとともに、政府軍兵士に向けた演説で「すでにフィリピンにISがいるのは明白だ。テロリストどもよ、今ならまだ話し合うが、応じないなら全面戦争で叩き潰す」と宣言した。

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