13歳と15歳の日本人が見たフィリピンの現実 僕と私は取材で子どもたちの困難を知った

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栁田:暴力を振るわれていたジュンジュンさんは、「お父さんが負けたのだったら僕が強くなる」という湧き上がる強い思いから、「路上で暮らそう」と思ったそうです。しかし、そのような家族でもジュンジュンさんは大好きだったそうです。路上ではギャングとして物を盗んだり、ナイフで脅しておカネを取ったりしていたそうです。僕が「怖くはありませんでしたか?」と聞くと、ジュンジュンさんは「憎しみが大きくて怖くはなかった」と言っていました。

ジュンジュンさんが国境なき子どもたち(KnK)に保護されたのは18歳の頃で、アグネスというスタッフに路上で会ったのがきっかけです。アグネスは、「子どもを死刑にしてもいいという法律ができてしまうことに反対するデモを起こそう」と子どもたちに話を聞いて回っていたそうです。なぜ子どもたちを死刑にするのかというと、お金持ちが人身売買で子どもを買い、子どもを使った犯罪を犯すようになったことに警察が気づき、幼い子どもでも死刑にすると言うようになったからです。

路上で生活をしていなかったら今の自分もいない

栁田:僕はそんな法律がフィリピンにある事に驚きました。「自分の過去に後悔していませんか」という質問には、「後悔していない。路上で生活をしていなかったらアグネスにも出会えなかったし、今の自分もいない」と答えていました。「一つひとつの出会いが人生を変えてくれる。しかしそれが悪い方向に転がってしまうこともある。それでも悪いことをそのままにするのではなく、輝く未来への光を見分けてチャンスを自分のものにするということが大切なのかな」と僕は思いました。

「路上での生活を思い出してつらいことはありませんか?」という質問には、「特に特別なことはない。なぜなら仲間もそのようなことを経験しているから。必要なことだ。」と答えていました。「日本の子どもたちに一言ありますか?」と聞くと、「ストリートチルドレンに必要なのは愛情だということに気付いて」と言っていました。今子どもたちに必要なのはおカネではなく、「家族のような関係の人から愛情をもらうこと」だそうです。家族からの愛情は僕にとっては普通のことなのに、それがここでは欠けているということに呆然としました。ジュンジュンさんは「ストリートチルドレンは悪い子たちと決めつけているけど、同じ子どもだよ」と言っていました。

スラム街に住んでいる、笑顔がすてきな女の子〈写真:©️国境なき子どもたち(KnK)〉

山邊:私は「若者の家」で出会い仲良くなったクリスティーナという女の子についてお話しします。「ティナ」と呼ばれているこの女の子は、スラム街に住んでいる、笑顔がすてきで、おしゃれが好きで、とても魅力的な女の子です。一緒にプールで仲良く遊んでいましたが、しばらくするとティナがどこかへ行ってしまいました。

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