13歳と15歳の日本人が見たフィリピンの現実 僕と私は取材で子どもたちの困難を知った

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実際には悪いことをしなくとも「鑑別所」に入れられている実態があった〈写真:©️国境なき子どもたち(KnK)〉

栁田:国境なき子どもたち(KnK)の運営する「若者の家」を訪問しました。「若者の家」とは、いろいろな事情で家族と暮らせなくなった身寄りのない子どもたちが保護され暮らす、まさに「家」のような所です。「若者の家」では勉強することができ、学校にも行け、ご飯もしっかり食べることができ、生活の心配がいりません。僕が訪ねた時は、みんなとても明るくすてきな笑顔で迎えてくれて、もともとは路上で暮らしていたとは思えませんでした。言葉が通じなくても、ジェスチャーで笑顔で会話することができました。

「ストリートチルドレンに必要なのは愛情」

栁田:僕が「若者の家」の取材で印象に残った子がいます。ミコという12歳の男の子です。お父さんがお酒を飲んでお母さんが怒ってばかりで仲が悪く、家にいるのが嫌になり8歳で路上生活を始め、9歳で若者の家に保護されました。ミコは「お父さんとお母さんが仲直りしたとしても僕はここで暮らしたい。僕は家族の愛よりも、ここでの友達との愛のほうが大切だ」と話していました。僕は「家族というものは絶対に愛情をくれるものだ」と思っていたし、ここまで出会った子たちも「家族が大事」だと言っていたけど、ミコのようにそうじゃない子がいて戸惑ってしまいました。でもミコは元気あふれる笑顔で誰とでも友達になれる、とてもすてきな子でした。

また、元ギャングのメンバーで「若者の家」に保護された後、現在国境なき子どもたち(KnK)スタッフになっているジュンジュンさんにインタビューしました。僕は4日目にインフルエンザにかかり入院をすることになってしまったのですが、ジュンジュンさんが僕の病室まで来てくれたので、僕はベッドに寝たまま取材をしました。

「自分の過去に後悔していない」と語るジュンジュンさん〈写真:©️国境なき子どもたち(KnK)〉

ジュンジュンさんの家族は闇の組織で働いていて、ジュンジュンさんのお父さんもその1人でした。しかし、何かが原因で誰かに28発撃たれて死んでしまったそうです。ジュンジュンさんのお母さんは、お父さんが亡くなってから違う男の人と付き合い、その人がジュンジュンさんやほかの兄弟に対して激しく暴力を振るったそうです。

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