スマホ決済、生体認証など「多様化する決済手段」が招く重大懸念 国家による情報管理や情報漏洩リスクにどう備えるべきか

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都市を背景にスマホを操作する人物
決済手段が多様化し、利便性が高まる一方で、情報漏洩のリスク拡大が懸念される(写真:metamorworks/PIXTA)
スマホ決済や生体認証など、近年、急速に進歩し多様化する決済手段は、その利便性が高まる一方で、情報漏洩やハッキングといったリスクが懸念されている。これらの問題について、近著『決済インフラ大全〔2030年版〕』を上梓し、通貨や決済分野の第一人者として知られる帝京大学教授の宿輪純一氏が解説する。

急速に進化し多様化する決済手段

現在、リテールの決済インフラにおいては、「近距離無線通信」(NFC:Near Field Communication)という技術が重要な役割を担っている。この技術は、SuicaやPASMOなどの交通定期・電子マネーなどで用いられている。近距離とは、実は10センチくらいとされている。つまりはタッチしなくても機械は反応する。

『決済インフラ大全〔2030年版〕: 新型スマホ決済から新決済リスク、金融業態改革、次世代決済まで』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

クレジットカードをはじめとしたプラスティックカードでは、これまでに、機械に通す「磁気テープ」、機械に挿す「接触IC」(チップ)、機械にタッチする「タッチIC」が登場してきた。

筆者は「資金決済法」(2010年)の制定には、その準備段階から協力してきたが、資金決済法の1つの重要な項目に「電子マネー」がある。電子マネーは、正式な法律的な名称は「前払式支払手段」という。支払手段とは支払に使える道具(機器)をいう。モノとの交換の時点(決済)との比較で“前”ということである。

ちなみに、後払式支払手段とはクレジットカード、同時払式支払手段とはデビットカードである。クレジットカードは、いわゆる“月賦”の「割賦販売法」、デビットカードは銀行口座を使うことから「銀行法」が、その根拠法となる。

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