スマホ決済、生体認証など「多様化する決済手段」が招く重大懸念 国家による情報管理や情報漏洩リスクにどう備えるべきか

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近年、顔認証をはじめとした生体認証の技術が進み、社会へ普及・拡大しようとしている。クレジットカードなども持たなくてもよくなるのも間もなくだろう。しかし、この生体認証にも弱点がある。一度完全に犯罪者に取られてしまうと、大変やっかいな問題を招く。認証に使う生体自体(自分自身)を変えることは、基本的にできないからだ。

日本政府は「マイナンバーカード」を普及させようとしている。現在、その普及率は約80%に達している。やや性質が違うが、運転免許証の約75%をすでに抜いている。ちなみに、運転免許の保有者は最近減少している。

このマイナンバーカードでも、顔認証が可能である(4桁の暗証番号も可能)。そして、日本国民の基本的なデータを集約・管理することが可能である。

「中央銀行デジタル通貨」構想

近年、「中央銀行デジタル通貨」(CBDC: Central Bank Digital Currency)という構想が注目を集めている。これは中央銀行が、国民向けに電子マネーを発行するというものである。

具体的に、日本で行おうとする場合には、わが国の中央銀行である日本銀行に国民が口座を開くことが必要となる。そうなった場合、国民のおカネの受払いが当局に見えることになる。これは、個人の情報を国家が集約・管理することにもなりかねない。

第2次世界大戦時、当時のナチス政権がユダヤ人を探し捕えるために、当局が違法のレベルでユダヤ人の個人情報を収集していた。そして、ユダヤ人に対するジェノサイド(大量殺戮・民族断絶)を行った。

そのような忌まわしい過去を反省し、国家が個人の情報を集約・管理することは極力制限しようというのが、日本やアメリカを含めた、現在の西洋諸国の基本的な考え方となっている。

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