日本人が知らないアフガニスタンを蝕む憎悪

「武器を取って戦う以外の解決方法がある」

サビルラ:しかし、力や戦いによってのみ状況を変えられるという考えが変わったきっかけは、今勤めているJVCでの経験でした。2005年にJVCに参加したのですが、当時米軍はNGOが行う支援活動に介入するなど人々に評判の悪い活動も行っていました。その時JVCは、自分のように力で米軍と戦うのではなく、銃を持っている米軍に丸腰で対話による抗議をしたのです。その結果、アメリカも自分たちのやったことを認めたということがあり、「武器を取って戦うこと以外の問題解決方法があるんだ」と思ったことがこの活動に入ったきっかけで、1つ目のステップとなりました。

最初は抗議を見て、「なるほど、こういう手段があるのか」と考えていただけだったのですが、その後実際に日本人がいない場面で自分自身が米軍と対峙する場面がたくさん出てきました。その中で、「市民やNGOの立場、権利を守ってくれ」と訴える機会も多くあり、結果を伴うことができたのです。「なるほど、このやり方で物事は変えられるんだ。武器や力だけじゃないんだな」というのを自分の実践の中で感じられるようになったというのが2つ目のステップでした。

「こういう力を持たない解決方法は家の中でも実践できるんじゃないかな」と考えるようになり、2008年に自分の家庭の中で対話や話し合いによる解決を目指す平和教育のようなことを始めました。それを始めたところ、参加した家族のメンバーの反応もとても良く、争いごとを解決するという意味で結果を伴うようになった。それが次の大きなステップです。私自身が実際に変わることができたので、他の人が変われないわけがないと思っています。自分が変わるにはきっかけがあったので、「問題解決には別の方法があるんだ」ということを伝えることができれば、誰でも私のように変われるのではないかと思っています。

「私たちはただ、周りの人々を傷つけたくない」

:以前JVCのみなさんに同行してパレスチナを訪れた際、「紛争が続く中、早く平和になってほしいですね」と僕がポツリと呟いたら、JVCのスタッフの方が、「堀さんの言う『平和』は誰のための『平和』ですか? 一方的な見方による『平和』になっていないか少し考えてみてください」と言われたんです。ガザの場合は、イスラエル側からするとパレスチナが収まること、パレスチナ側からするとイスラエルが攻撃をやめることかもしれません。しかし、それがなかなか終わらないから「平和」というのは難しい。「平和」という言葉の概念の難しさを非常に感じます。サビルラさんにとっての「平和」とは何か、ぜひ教えてください。

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