日本人が知らないアフガニスタンを蝕む憎悪 「武器を取って戦う以外の解決方法がある」

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:なぜそのような深刻な状況に陥ってしまったのでしょうか。人道支援を続けるNGOすら狙われるというのは余程のことだと思うのですが、その憎悪の根源は何だと考えられますか?

憎悪の根源は何か

サビルラ:アフガニスタンにはいくつかの武装勢力があります。タリバンという勢力が国の支配を目指して戦っていることは報道でもよく耳にすると思いますが、最近では「ISIS」を名乗る勢力も出現しました。先ほどお話ししたNGOへの攻撃を行ったのも「ISIS」であると言われています。先ほどお話しした事件の他にもいろんな事件が起こっているのですが、やはりこのいくつかも「ISIS」が行ったと言われています。そういった意味で、現在はいくつかの勢力が、いかに自分たちの勢力を誇示するかという勢力間での競争のようになっており、人々の命を全く考慮せず誰でも標的にするような攻撃が行われています。中立の立場でも狙われるということで、アフガニスタンの人々はどういうふうに自分が振る舞えば安全なのか、どうしたら自分が安全でいられるのか分からない、とても怖い状況に置かれています。

(写真:GARDEN編集部)

:何が力を誇示し合うような状況を生んでいるのでしょうか? 資金面のサポートが必要なのか、大国が支援しているからなのか。その点はどう思われますか?

サビルラ:外部の介入というのは間違いなくあります。アフガニスタン国内で活動している過激なグループは今、とにかく自分たちの力を誇示し、人々に自分たちの力を信じさせたい。そしてそれによって人々の支持も得ながらアフガニスタンを支配したいということを考えています。過激さが高じて、誰でもターゲットとし、人々の命を気にしないような状況になっていると思います。ニュースのヘッドラインを飾って「死傷者がこれだけ出た」と報じられることによって自分たちの力をとにかく見せる、ということを考えているかなと思います。もちろんそれ以外にも武装勢力の中には様々な戦略もあり、例えば、「ISIS」はシリアとかイラクで敗北をしていると言われていることもあり、アフガニスタンで別の力を見せてそこに根拠を作りたいという事情も、勢力の誇示の背景にはあるのかなと思います。

:報道はどうしても、シリア、パレスチナ、南スーダンなど、日本とアメリカに関係のある地域に偏り、アフガニスタンに関して報道されるケースは非常に少なかったと思います。世界、特に日本で報道が減っていていると実感されることはあるのか、発信力について教えてください。

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