日本人が知らないアフガニスタンを蝕む憎悪 「武器を取って戦う以外の解決方法がある」
サビルラ:私たちは自分たちの困りごとや興味によって「平和」を定義しているんだと思います。アフガニスタンの状況はガザの状況とは全く違います。アフガニスタン人が思う「平和」というのはとてもシンプルなものじゃないかなと思います。私たちはただ、周りの人々を傷つけたくない、自分たち自身の身を守りたい、爆弾や攻撃に直面したくない、平和構築の名の下アフガニスタンに来たと言いつつ私たちを撃ってくる外国人に遭遇したくない、それだけなんです。
東京やドバイなど外国に行きたいとかそういうことではなく、ただ安心できる環境で自分たちをほっておいてほしいのです。女性であれば、自分の子どもを守りたい、夫を守りたい、家族を守りたい。多少の食料があれば、それ以上は必望みません。状況によって変わっていくかもしれませんが、今の状況の中でアフガニスタン人が思う「平和」はこのような単純な平和じゃないかなと思います。
どのような思いで平和構築の活動を続けているのか
堀:JVCではそのような状況の中でどのような思いで現地での平和構築の事業を活動を続けていらっしゃるのか、具体的な活動の中身とスタッフの皆さんの思いを聞かせてください。
小野山:今サビルラの話にあったように、アフガニスタンの苦しみというのはあまりに長くてひどすぎて、しかもそれが悪化している状況にあって。人々になるべく寄り添った形で人々の暮らしを支えていこうという活動をしてきたのですが、サビルラの思いも踏まえ、より平和を作る活動ができないかと考えています。
そういう意味で、彼が今話してくれた「平和の学び合い」の活動を全力で支えたいなと思っています。ただこの活動は、9.11後に緊急救援のために現地に入って以来、人々の命が失われるのを防ぐために医療、保健、次世代のための教育など地域に根付いた活動をしてきたという土壌があったからこそのものです。そこに住む人々の信頼も得ながら、今新たに平和構築の活動もできているのかなと考えています。今サビルラがアフガニスタン人が思う「平和」ということを語ってくれて私も感動したのですが、やはり人々がただ平和に住み暮らすということを支えられる活動ができればいいのかなと思っています。
今後も現地のスタッフや住民の人々とできることをやっていきたいなという思いです。そしてサビルラも言いましたが、アフガニスタンが忘れられている状況があるので、ぜひ活動を通じて、これを見てくださっている皆さんに、「アフガニスタンを忘れないでください」ということを伝えながら活動していきたいなと思います。
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