楽天、ネット通販大改革で狙う新たな「金脈」 カギはクレカと広告、"経済圏"拡大で稼ぐ
ECの変革に取り組む背景には、グループ内のほかの事業への波及効果がある。
最たる例はカード事業だ。2017年の楽天カードのショッピング取扱高は年間6兆円を超え、国内首位に立った。今や全社の2割となる年間300億円以上の営業利益を稼ぐ。楽天市場は、このカードの利用や新規会員獲得の起点になる。以前はEC事業単体での収益確保を重視していたが、カード事業の拡大とともに姿勢が変わってきた。
ECを起点に他事業を伸ばす戦略
昨年10月には、楽天市場のポイント付与率を一部拡大。収益性の低下を懸念する声に対し、三木谷会長はこう説明した。「楽天市場は“楽天経済圏”のアンカー(拠り所)。管理会計上、ECの収益は削られてしまうが、その分ほかの事業で収益が伸びている。グループ全体として経済合理性があるかぎり、どんどん(投資を)やっていく」。
EC事業から得られる購買データを生かした広告ビジネスも、昨年電通とタッグを組み始まった。広告への接触と購買実績を結び付けた効果測定は、大規模なEC事業がなければ難しい。現在はグループ内のサイトでの広告配信にとどまるが、いずれは対象を外部サイトへ拡大したい考えだ。
打つ手に自信を見せる楽天だが、株式市場の評価は甘くない。直近の株価は2013年3月以来の低水準。通信事業への参入、損保会社の買収など、多方面で施策を講じる中、投資に見合う成果を示せるかが課題だ。
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