パナ津賀社長が考える35事業部制のさばき方 「未知なる世界に中のリソースでは不十分」

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津賀:中国へ行けば、イノベーションを抜きにしては考えられない。実際、多くのイノベーションが起こっています。だからといって、継続的に発展している企業がそんなに多いわけではありません。生まれてなくなっていく企業も多い。一度成功している企業も、あらたに生まれたもっとイノベーティブな企業に挑戦されて敗れていくというケースも多々見られる。では、われわれは、日本企業として、百年企業としてどうなのか、ということをしっかり認識しておく必要がある。

今は、転地戦略により、われわれが持っているリソースで社会の変化にいちばん早く対応できるイノベーティブな分野があれば、連続的、非連続的のどちらであるかにかかわらず、そちらにシフトすべきであると考えています。

一方、本当に非連続なイノベーションは、失うものがないような人たちが本来やるべきもの。われわれとしては、挑戦する人たちをどう応援するのか、どう組むのかが重要になってきます。いい例がテスラです。われわれは、資本ではテスラにわずかしか入っていません。車という領域は連続的なイノベーションかもしれませんが、テスラはEVという新分野で非連続なイノベーションを起こそうとしています。小さなスタートアップを応援するだけでなく、テスラのようなベンチャースピリットを持った大きな企業と手を組むこともできます。

挑戦する人たちをどう応援するのか、どう組むのかが重要だ(撮影:ヒラオカスタジオ)

内部においても、デジタル家電のメンバーを自動車関係へシフトすることにより、連続的かもしれませんが、イノベーションが起こりやすい領域で勝負することができます。今、関心を持っているのが、イノベーションを起こそうとしている中国企業と組むことです。中国ではEV、蓄電池関係などのサービス関連でイノベーションが見込まれていますので、いろいろな中国企業と協働していこうと考えています。

外部人材の登用には、好意的な声のほうが多い

長田:国内外を問わず、外部人材の登用を積極的に進めておられます。当然、とても大きいメリットがあるとの前提に立ち展開されているエグゼクティブ人事でしょう。しかし、リスクもあるのでは。たとえば、「外部から来た人からいい刺激を受けた」と、社長に耳触りのいい言葉を取り巻きが伝える。それを社長が真に受ける、というのは、どこの会社でもありがちなこと。

津賀社長がそうであると断定しているわけではありませんが、実態は「落下傘や出戻りが優遇されるとは。会社のために私生活も犠牲にして、これまで頑張ってきた俺(私)たちは、何だったんだ」とうがった見方をしている人も少なくないのでは?

外部人材を登用したとき、早期退職制度は実施したとはいえ、これまで終身雇用型文化が染みついている組織において、マジョリティを占める生え抜き社員のモチベーション・マネジメントをどのようにお考えですか。いや、海外はもちろん、国内でも、文明開化のごとく、過去を否定し、新しい文明を取り入れるほうにかけますか。

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