パナ津賀社長が考える35事業部制のさばき方 「未知なる世界に中のリソースでは不十分」

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津賀:家電の場合だと、白物をいかにグローバルに伸ばしていくかが大きな課題です。事業部だけだと不十分なので、これまで当社のグローバル成長を牽引してきたデジタルテレビ系の技術者を白物系の事業部に移し、白物の技術者と交流することにより、グローバル市場で競争力を高め、海外の販売会社を製販連結経営の対象にしてマネジメントをより現地化しながら、収益優先の事業をつくっていく。事業部制をベースにしながら、将来行くべき姿に合わせているので、結果、事業部の形も変わってきています。

もっといい出口がある(より収益性が高い)分野へシフトできるリソース(経営資源)は使っていきます。そうではなく、外部のパートナーと一緒にやったほうが結果的に良くなるという場合は、躊躇なく外へ出します。

すでに、パナソニック ヘルスケア(2018年4月からPHCに社名変更)に関しては、全株式を投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が設立した持株会社パナソニックヘルスケアホールディングス(以下、PHCHD)に約1650億円で売却。PHCHDが実施する第三者割当増資をパナソニックが引き受ける形で同社の20%の株式を保有することになりました。鉛蓄電池の事業も株式譲渡しGSユアサの産科でやってもらっています。海外ではM&Aで取り込んだケースもあります。

パナホームについては、TOB(株式公開買付)およびその後の株式併合により、2017年10月2日にパナソニックの完全子会社としました。さらに、2018年4月1日付で「パナソニック ホームズ株式会社」に社名を変更し、同時に、ブランドを「Panasonic」に変更します。さらに、中堅ゼネコンの松村組を取り込み2017年12月末に連結子会社にしました。

このように、現在のリソースを固定的に考えているわけではありません。

新しい非連続的イノベーションは考えているのか?

長田:パナソニックのようなビッグ・ビジネスは、大きな所帯を支える食い扶持をつねに持っていなくてはならないという宿命を背負っています。そうしなければ、世界で27万人もいる従業員を食べさせていけません。産業誘致をして経済を活性化しなくてはならない地方自治体のような存在です。その意味では、津賀社長は県知事に等しい。県知事は海外のことはほとんど気にしなくていいですが、津賀社長はそういうわけにはいかない。だから、繰り返しますが、人智を超えているのではないかと心配になってくるのです。

27万人が食べていくには、どうしても複数の大黒柱がいる。そこに持続的成長というミッションが加われば運営は至難の業です。それが、「利益よりも持続」を旨とする中小規模のファミリービジネス(同族企業)、老舗とは異なるところです。

そこで、社長就任以降、パナソニックはリロケーション(転地)の戦略で飛躍しようとしています。それは、諸先輩が培ってきた経営資源の延長線上にある連続的イノベーションであると考えられます。それが悪いとは言いませんが、まったく新しい非連続的イノベーションもお考えですか。

それも含めて、どのような新しい食い扶持を創造されようとしているのでしょうか。それは、電池事業をはじめとして注力するBtoBビジネスが軌道に乗り始め、大金が入ってきた頃に実現すれば理想的ですが、津賀社長在任中にどの辺りまで実現可能ですか?

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