ビジネスホテルのプランなどでも、セットを見掛ける。クオカード付き、レジャー施設のチケット付き、缶ビール付きプランなど、ちょっとした「おまけ」がセットになっていると、つい目がそちらに向く。本来はそのおまけの代金を引いたあとの金額で泊まれるホテルを予約すれば実は値段は同じという場合もあるだろうが、いかんせんおまけありのほうが魅力的に映る。これも、目玉をエサに業者側が売りたいものを売るというパターンの変形だろう。
好きなものを選べるならセットもオトク?
筆者はよく串カツ屋で「晩酌セット」を頼む。これは、ビールと串カツ数種の組み合わせだが、串カツのネタ自体は店のおまかせだ。おまかせというのは店の都合次第でネタを決められるのだから、こちらの分が悪い。単品ではあまり売れないネタが潜ませてあるかもしれないからだ。
では、「自分で選べるセットなら、好きなものを頼めてトクなのでは?」という声もあるだろう。たとえば、「5品のうちから、好きなつまみを2つ選んでください」というパターンだ。一見、それは消費者側に選択権があるように思えるが、本当にそうだろうか。そうも言い切れない。なぜなら、その選べる5品は店側が決めているわけだからだ。
このラインナップは、「早く売ってしまいたい」つまみなのかもしれないし、あるいは原価が安く、利益率が高いつまみばかりそろえているかもしれない。客が「好きなものを選んだ」のではなく、店が「選んでほしいものの中から選んでもらった」というのが正解だろう。
洋服や靴下などの「よりどり3品買い」も、品物の選択権は客のほうにあるが、賢い買い物とは言い切れないというのが筆者のスタンスだ。3品買えば10%オフと聞いて、不要な2品目3品目を買うのは、結局ムダ遣いにつながるからだ。特に、3という数字は絶妙で、安く買えてしかも3品も手に入る、と聞くと2品買うよりオトクな気がする。
ちょっと脱線するようだが、恋愛マンガでヒロインが恋人の選択に迷うのは、誠実で一途なイケメンか、どこか悪っぽくて取り巻きも多いイケメンかの2人であり、もう1人、それと同等に存在感を発揮できる3人目のイケメンを登場させるのは、かなり難しい。恋愛マンガでも買い物でも、ナンバースリーはいなくてもよく、いても数合わせになることが多いと言えるのではないだろうか。
しかし、居酒屋で晩酌セットをついつい頼んだり、それほどほしくなかったものまで3品買ったりというのは、それほど目くじらを立てることではないかもしれない。本当に注意が必要なのは、毎月払い続ける「料金プラン」のセットだろう。
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