「お得なきっぷ」にJR間の連携不足が表面化 民営化30年、グループの協力は縮小傾向?

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小田原城をバックに走る新幹線。JR東海は「お得なきっぷ」として小田原~東京間などの往復きっぷを発売している(写真:ぐち / PIXTA)

2016年4月25日、東海旅客鉄道(JR東海)と東京地下鉄(東京メトロ)のホームページに「『新幹線&メトロ 東京日帰りきっぷ』の発売について」と題した、両社連名のプレスリリースが掲載された。

この「新幹線&メトロ 東京日帰りきっぷ」は、熱海駅または小田原駅~東京駅間の新幹線普通車自由席の往復と東京メトロ全線が一日乗り降り自由となるきっぷがセットになった特別企画乗車券(お得なきっぷ)で、価格は熱海駅発が5950円、小田原駅発が5130円。5月9日に発売が開始された。

またJR東海は、熱海駅または小田原駅~東京駅間の新幹線普通車自由席による往復きっぷ「新幹線お出かけきっぷ」を2013年8月1日から継続して発売している。

「お得」だが購入には条件が

しかし、これらのきっぷの発売には次に述べるような条件や制約がある。

まず「新幹線&メトロ 東京日帰りきっぷ」および「新幹線お出かけきっぷ」ともに、大人2名以上が同時に使用する場合にのみ発売されることである。こども用の設定もない。

また、どちらの商品も発売箇所がJR東海の窓口(「新幹線お出かけきっぷ」については東京駅、品川駅、新横浜駅のジェイアール東海ツアーズでも発売)のみで、東日本旅客鉄道(JR東日本)を含むJR他社では発売していない。さらに、発売する駅も「新幹線&メトロ 東京日帰りきっぷ」は小田原・熱海・函南の3駅、「新幹線お出かけきっぷ」もこの3駅に東京・品川・新横浜を加えた6駅に限定されている。

それでは、なぜ上記の条件が設けられているのかを考えてみよう。

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