「お得なきっぷ」にJR間の連携不足が表面化 民営化30年、グループの協力は縮小傾向?

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熱海はJR東日本とJR東海の境界駅。湯河原と来宮はJR東日本、函南はJR東海の駅だ(写真:アーネ / PIXTA)

これだけのメリットがあるきっぷであるだけに、1名でも利用することができれば、利便性はさらに増す。このきっぷの前身に当たる「こだま都区内・りんかいフリーきっぷ」は、1名から利用が可能であった。

「こだま都区内・りんかいフリーきっぷ」は2009年7月1日から発売が開始され、熱海駅または小田原駅と都区内の間の東海道新幹線の普通車自由席と、フリーエリア内でのJR線、りんかい線、および東京モノレール浜松町~天王洲アイル間が乗り降り自由で、価格は熱海駅発5500円、小田原駅発4660円。有効期間も2日で、こども用の発売もあった。さらに、発売箇所についても出発地周辺という限定はあるものの、JR東海の駅とJR東日本の駅、および旅行会社で購入可能だった。

しかし、このきっぷは2013年7月31日利用開始分を持って発売を終了し、1名での利用ができず、しかもJR東日本の駅で買えない「新幹線おでかけきっぷ」、「新幹線&メトロ 東京日帰りきっぷ」が発売されるようになったのである。

自社限定きっぷはJR東日本にも

自社線利用限定のきっぷを発売しているのはJR東日本も同様だ。同社は、東京都区内や横浜市内などから伊豆方面への観光に便利な「南伊豆フリー乗車券」を発売している。このきっぷは、出発駅と南伊豆フリーエリアの入口である伊東駅との間で東海道本線・伊東線の往復を利用できるが、都区内を超えた東海道新幹線の利用は不可能だ。発売箇所も、JR東日本の首都圏エリアの主な駅の指定席券売機、みどりの窓口、びゅうプラザ、提携販売センターおよび主な旅行会社となっており、JR他社での購入ができない。

だが、2013年10月31日までは、出発駅とフリーエリアの間の往復に東海道新幹線も利用可能で、JR東日本およびJR東海の駅で購入できる「伊豆フリーQきっぷ」が発売されていた。

国鉄時代から存在したこのきっぷの廃止は、国鉄分割民営化の影響の表れの一側面と言えるかもしれない。分割民営化の影響およびJR東日本・JR東海の連携が不足していることの表れと考えられる状況は、ほかにもある。

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