優秀な人が陥りやすい「無意識の忖度」の罠 境界条件を外せば「必ずできる」に近づく
次に、そのリストの1つひとつをできる限り外していく。創業以来の理念や長期ビジョンなど、守り続けるべき境界条件も当然あるだろう。しかし、冒頭でも挙げたような境界条件、「できない理由」は要注意であり、極力外すべきだ。
・「資金やコスト、人材、時間」といった経営資源面での境界条件
・「なぜこれがダメなのか」という理由があいまいな境界条件
・「前例がない、過去に否定された」といった理由に基づく境界条件
・「他部署との軋轢や自部門のリスク」というような組織内部の理屈による境界条件
こんな境界条件をそのままにしていたら、大きな成長や改革につながる発想は生まれず、小さくまとまった予定調和の解決策しか出てこない。こうした境界条件は、検討や企画の段階ではいったん横に置こう。
どうしても外すべきでない境界条件だけを残し、それを明示的に確認しておくことが重要である。どんなに思い切って外していっても、境界条件がなくなることはないだろう。自社の理念、全社的な戦略方向性などが残るかもしれない。それでも、書き出した境界条件の多くを消していければ、発想は広がってくる。
一番厄介なのは「無意識の境界条件」
境界条件を外す際に一番厄介なのは、その存在を誰も意識していないにもかかわらず皆が従っているような「無意識の境界条件」である。過去に誰かが指示した、あるいは今まで誰もやっていないという理由で、組織や個人に染み込んでいるものだ。
無意識の境界条件は明確に言語化されていないため、なかなか書き出せないだろう。だが、ふとした瞬間に明らかになる「やってはいけない/やらなくてはいけない」という思い込みのうち、誰もその論拠を明確に答えられないし、自分自身も説明できないものがあったら、それこそ外すべき無意識の境界条件だ。
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