先入観を裏切る「漢方ジュースバー」の仕掛け 漢方食材配合のドリンクをワンコインで提供

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運営しているのは、2007年より農業開発や農業流通などの事業を行うベンチャー企業、銀座農園。農業界の革新を目指し、農業ビジネスへの新規参入などをサポートしている。代表的な事業が高糖度トマトの生産・販売支援。低コストで高糖度トマトを栽培できるシステムを企業に販売し、生産品の販売支援も行う。これらのトマトは、デパートなどでも販売されてきたそうだ。

また、2009年からの事業「銀座でコメづくり2009プロジェクト」や、生産者や自治体と消費者を結ぶ、自治体アンテナショップ、マルシェ(市場)の企画といった事業の中で、全国の生産者とつながりを形成してきた。

ファーマシーズ 銀座も、そうした事業の中から生まれてきたアイデアだったという。

「高麗人参を例にすると、長野、島根、会津若松など国内で生産されているにもかかわらず、あまり知られていません。いっぽう、世の中は健康ブーム。セルフメディケーションの必要性が叫ばれ、農業への関心も高まっています。この両者を結び付けたい、と考えました」(石郷岡氏)

ビジネス化にあたっては、日本薬科大学を設置する都築学園(福岡県福岡市)と業務提携。薬学および医学的な知識面や原料提供におけるサポートを得ている。

「銀座農園が自社や提携企業で生産している、高糖度トマトなどの高付加価値農産物に、日本薬科大学が持つ薬学、医学に関する専門知識・技術といったリソースを合わせ、『医農連携による新たな6次化商品』を開発するのが目的です。美容・化粧品といった高付加価値商品の原料として、農産物の可能性を探り、将来的には薬用植物の生産拡大を目指します」(石郷岡氏)

女性だけでなく男性にも「漢方」は響く

2017年の7月にプレオープンし、11月1日にグランドオープンを迎えた。反響は、席数10席程度の店内が毎日満員になる、というほどではないが、プレオープンの時期から、手応えは感じてきた。リピーターが多く、「風邪ぎみだから」「今週はハードだから」「リフレッシュしたい」などの理由で同店を訪れるという。

「意外だったのが、女性だけでなく男性にも“漢方”は響くのだということ。皆さん、病院に行くほどではないが何らかの不調を抱えていて、『どうにかしたい』と考えていることがわかりました」(石郷岡氏)

また銀座という土地柄、「健康への意識が高い」と感じているそうだ。周囲にヨガスタジオ、フィットネスジム、婦人科クリニック、自治体アンテナショップがあり、健康や食物への関心が高い人が訪れる。

「不思議なのですが、1日に何回も『東京駅に行くには』『パン屋さんに行きたいんだけど』などと道を聞かれます。通りすがりで当店を見かけて、リピーターになったお客様もいます」(石郷岡氏)

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