占領下で高まるパレスチナ人の孤独と閉塞

「見過ごしている国際社会も大きな責任」

:ガザでは?

山村:ガザは封鎖されており東エルサレムと状況は違うのですが、「子どもの栄養改善事業」をやっています。仕組みは東エルサレムと非常に似ているのですが、女性のボランティアさんたちを育てて、その人たちが保健や栄養に関するカウンセリングをできるようになり、家庭訪問をして母子保健を支えていくという活動です。

©️JVC

最近は、「前向きな子育てをするにはどうしたらいいか」「暴力を使わずに子育てをしていくにはどういった工夫が必要なのか」など、お母さんたちの不満を聞いたりアドバイスをしたりして、家庭の中から状況を変えていこうという。栄養不足というのも深刻なのですが、そういった状況にもアプローチできる。女性たちも、東エルサレムの学生たちと同じように自尊心を取り戻していったり、自分たちで状況を乗り越えられるんだという自信をつけていったりという状況を、彼女たちの表情や取り組む姿勢を見て非常に強く感じています。女性ボランティアたちが訪問しカウンセリングをしたお母さんたちがまた自尊心をつけていったりとか、循環型ですね。どんどんどんどん広がっていく。私たちのパートナー団体が女性ボランティアさんたちをトレーニングしているのですが、現在30人の女性ボランティアさんがいます。そのボランティアさんたちがどんどん地域に広めていくのです。

©️JVC

今、ガザで最も貧しいと言われる中部の難民キャンプで活動しています。資金が不足していて非常に厳しいところではあるのですが、さらにエリアを広げ、できる限りガザの方達に寄り添いたい。「自分たちの力でどう立ち上がっていくか、どう乗り越えていくか」というところに一生懸命寄り添っていきたいなと思っています。

支援の現場に影響は?

:トランプ大統領の「エルサレム首都化発言」は、 山村さんたちが積み上げてきた支援の現場にどういう影響がありましたか?

山村:あの発言は一つの小さなきっかけであって、あの発言一つで急にこうなったということではないのですが、「私たちが活動地でやってきたことが壊されてしまう、否定されてしまう」というニュアンスは現場にいても感じてしまいます。トランプ大統領の発言があってから、「ユダヤ人入植地(*6)」の拡大についても議論になりました。あまり日本ではあまり注目されていませんが、現地や海外のジャーナリストは結構そこを心配していて。エルサレムがイスラエルの首都だと正式に認められてしまうと、イスラエル側が主張する「ユダヤ人入植地」に対する正当性が出てきてしまいます。入植地を増やそうという動きの裏で何が行われているのかを見るのは大事なんじゃないかなと。非常に深刻だと思います。

(*6)イスラエルは1967年の第3次中東戦争以降、ヨルダン川西岸地区や東エルサレムにユダヤ人入植地を建設してきた。占領地への自国民の移住は国際条約で禁止されているが、イスラエルは反論している。

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