最新版!女性管理職が多い50社ランキング 2年連続トップは化粧品メーカーのシーボン

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もう1つのランキングは、この5年間にどれくらい女性管理職の比率を拡大させたか、増加ポイントの高い順に示したものだ。5年前の『CSR企業総覧』2013年版(2011年度)で情報開示があり、今回2018年版(2016年度)で女性管理職の数が5人以上いる企業433社を対象としている。

増加トップはイオンフィナンシャルサービス

1位はイオンフィナンシャルサービスで、こちらも前回調査に続き連続トップとなった。同社は5年前の2011年度では、女性の管理職はわずか6人、比率も3.6%にとどまっていた。その後、2012年度11.8%、2013年度14.0%、そして2014年度には31.9%と急上昇している。実は同社はグループ企業再編を行っており、本調査において2013年度まではイオンクレジットサービスの集計データだったが、2014年度以降は経営統合したイオン銀行を含むイオンフィナンシャルサービスの連結ベースの集計データに変わっている。

2位はイオン(データはグループの中核企業であるイオンリテールの集計データ)で2011年度の8.3%から19.4ポイント上昇した。これまで2013年度10.2%、2014年度11.9%、前回2015年度13.0%と着実に比率を高めてきた。そして今回は27.6%と大きく上昇している。これは、従来の「やや厳しめ」のベースの集計から、女性活躍推進法で策定が義務付けられた事業主行動計画において状況把握の必須項目とされている女性管理職比率の基準、すなわち課長級以上のベースの集計に変更したことによるものだ。

同社はグループ全体で女性管理職比率を「2020年に50%」とする目標を掲げている。グループ内には小売業のほか、アパレル、化粧品、施設管理、ディベロッパーなど多種多様な業態の企業を擁している。1位のイオンフィナンシャルサービスもその1つだ。これら各社がそれぞれ「ダイバーシティ推進責任者」「女性が活躍できる会社リーダー」「女性が働きやすい会社リーダー」を配置し、各社ごとに課題の設定を行い、女性が働きやすい企業づくりに向けて活動している。こうした取り組みもあって、異動に際しても女性の登用が強く意識されているという。

同じく19.4ポイント上昇で同率2位となったのは高知銀行。前回調査のランキングでも4位と上位にランクインしていた。同行は5年前(2011年度)の女性管理職数はわずか5人、比率も2.2%にすぎなかったが、その後も2014年度まで2.2~2.4%という水準が続いた。ただ、この間も仕事と子育ての両立支援やワーク・ライフ・バランスを推進するための雇用環境の整備などを行い、次世代認定マーク(「くるみん」)を4期連続で取得していた。

こうした取り組みを進めたことに加え、管理職のベースを変更して集計したこともあり、前回調査では女性管理職比率が20.3%となり、今回調査で21.3%に上昇した。同行では、さらに結婚や育児などにより退職した職員の復職を進める制度整備に取り組んでおり、その結果、2017年6月に「プラチナくるみん」認定を、同9月には女性が管理職として活躍できる雇用環境の整備が評価され、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定を受けている。

一方、昨年2位のセブン&アイ・ホールディングスは10位、同3位の第一生命ホールディングス(データは第一生命保険)は34位と順位は後退した。両社とも女性管理職比率ランキングでそれぞれ38位(26.4%)と44位(24.3%)に名を連ねており、どちらも言わずと知れた女性活躍推進における先進企業だ。女性管理職比率は、すでに5年前(2011年度)の段階でセブン&アイ・ホールディングスは15.0%、第一生命ホールディングスは17.6%に達していた。したがって上昇率が鈍化するのはある程度やむをえない面はある。ただし、それでも上昇率でトップ50圏内だ。

それでも日本は遅れている

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政府は女性管理職比率を「2020年までに30%」とする目標を掲げている。従業員301人以上の企業も女性管理職比率の目標が義務付けられており、女性管理職を増やし、その比率を高めていかなければいけないというコンセンサスはほぼ確立している。しかし現実は、まだ全体で12.1%(厚生労働省「2016年度雇用均等基本調査」)と、目標には遠く及ばない水準だ。もちろん諸外国との比較でも低い水準にあることは言うまでもない。

すでに現役世代の減少による労働力確保が課題となってきた日本企業は、長時間労働是正をはじめとする「働き方改革」を進めることが急務となっている。そのなかで、女性が働きやすい環境を整備し、その能力を発揮できる体制をつくり、優秀な人材を登用していくことは重要なポイントとなる。数値目標達成の性急な数合わせではなく、着実に一つひとつの取り組みを積み上げていくことが肝要だ。

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