さて、では各企業の最新の状況についてみていこう。なお、本稿でのランキングは2016年9月以降の時点で女性の管理職が10人以上いる企業を対象としている。管理職の定義については、「部下を持つ、または部下を持たなくとも同等の地位にある者」としており、ここには「役員」(執行役員を含む)は含まれていない。また、企業ごとに管理職の基準は異なっているので、その場合は会社基準をベースにしている場合もあることに留意いただきたい。
2018年版のトップはシーボンで、前回に続く2年連続のトップとなった。管理職142人のうち女性が124人で、女性管理職比率は87.3%に達する。それもそのはずで、同社は女性の“美を創造し、演出する”を企業理念に掲げ、女性向け化粧品の製造・販売、およびビューティサロンを全国展開している、まさに女性のための会社だ。そのため従業員構成も、男性80人に対し女性が1016人と圧倒的多数を占める。
したがって、女性が働きやすいさまざまな仕組みが整っている。たとえば結婚や出産、介護などとの両立を可能にするための多様な働き方に関しては、1日6時間勤務など短時間勤務であっても、フルタイムの正社員と同等の福利厚生を受けられる「ショートタイム正社員」制度や、一度退職した社員が再び即戦力として再入社できる「ウェルカムバック制度」などを設けている。
こうした取り組みの成果もあり、2010年度に79.5%だった女性管理職比率は、2013年度に84.4%、2014年度85.3%、2015年度88.2%と高まり、目標として掲げた「女性の管理職比率85%以上」はすでにクリアしている。また2010年度に5.3年だった女性の平均勤続年数も、今回のデータ(2016年度)では8.1年に延びている。
2位はニチイ学館で比率は77.1%。管理職3810人のうち女性が2938人を占める。同社は医療、介護、教育を3本柱にヘルスケアや生活支援、さらに保育所の運営も行うなど、生活のさまざまなシーンに密着した事業を行っている。こうした事業は、優しさやきめ細かさといった女性の目線が重要で、それだけに創業以来、女性の就労機会を提供し、活躍を後押しし、管理職への登用も進めてきた。女性管理職比率も2006年度ですでに77.0%に達し、以降現在まで同水準を維持している。
4位はゲームソフト『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズとその関連商品を展開するブロッコリー。従業員95人のうち女性が60人と多数を占める。管理職も女性が18人、男性が15人と女性が多数派だ。前回の調査では、女性管理職は5人(男性10人)で女性比率が33.3%と順位では14位相当だったが、ランキングの対象が女性管理職数10人以上だったため対象外だった。
以下、5位がパソナグループ、6位は関西地区を地盤に介護事業を展開するケア21、7位は婚活サービスのパートナーエージェント、9位がクレディセゾン、10位にはツクイがランクインした。いずれも前回調査でトップ10に名を連ねていた企業であり、上位の顔ぶれはほとんど変わっていない。
そんななか4位のブロッコリーのほか、8位には女性向け恋愛ドラマアプリなどを展開するボルテージが新たにランクイン。両社を含め上位50社のうち15社が新たに対象となり、ランキングに加わった。
金融・保険業、サービス業、小売業で高い女性管理職比率
ランキング上位では化粧品など女性をターゲットにした商品・サービスを提供する企業、介護や保育事業を展開する企業が目立つ。また保険や小売業のように顧客・消費者と直接対面する業態の企業がほとんどで、そのような場面では女性の力、活躍が非常に有効であることを物語っている。
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