2018年注目のバイオベンチャー3社はここだ 創設ブームから約15年、成果が見えてきた

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創製した特殊環状ペプチドのうち医薬品にはならないものを使って、試薬や臨床検査薬、DDS(薬物送達システム)の研究や自社創薬の準備も進めている。

ペプチスター社設立の記者発表(記者撮影)

現在、提携先で治験を開始した案件は1、準備中が3と少しずつ増えており、原薬の製造体制整備への要望が高まっている。

そこで2017年9月には、同社と塩野義製薬、積水化学工業を中心とした総勢12社で特殊ペプチド原薬製造会社・ペプチスターを設立、社長にはペプチドリームの窪田規一会長が就いた。塩野義の摂津工場敷地内に製造拠点を設立し、量産体制整備に向けて準備を開始、「2019年の稼働入りを目指している」(窪田会長)。

体性幹細胞で神経損傷を治療するサンバイオ

2014年11月、再生医療等新法施行によって、日本は海外の再生医療開発企業からも注目を集めた。だが、新法施行から丸3年、再生医療等製品の臨床試験は複数進んでいるものの、承認はいまだ3件にとどまっている。

再生医療の目玉とされる、山中伸弥京都大学教授が開発したiPS細胞はまだ歴史が浅く、安全性などの点で解決すべき問題が多いと言われる。そのiPS細胞研究に資金が集中するあまり、現在世界の再生医療の中心であるES細胞や体性幹細胞による再生医療開発で日本は後れを取っている、と懸念する声もある。そんな中で体性幹細胞を使った再生医療で着実に治験の歩を進めているのがサンバイオだ。

再生医療で世界のトップランナーの1人、慶応義塾大学の岡野栄之教授のアイデアをもとにスタートした同社が進めるのは、健康な人の骨髄から取った間葉系幹細胞を培養して使う慢性期脳梗塞治療薬。2001年、キリン出身の森敬太社長とボストン・コンサルティング出身の川西徹会長が米国で設立したが、再生医療等新法施行を受けて2014年末に日本に本社を移した。米国では大日本住友製薬と2016年から臨床2相を行っており、2020年には臨床3相入りを目指す(日本は帝人にライセンス供与)。

他人の幹細胞を使うので量産化できる(資料提供:サンバイオ)

臨床1相の段階で、2年以上腕を動かせなかった患者が動かせるようになり、歩くこともできなかった患者がぎこちないながらも歩行できるようになるという成果を出し、カリフォルニア州再生医療機構から総額2000万ドル(約22億円)の開発支援金も獲得している。

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