NPOというキャリアはありですか? 【キャリア相談 Vol.20】

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20代後半といえば早い人であればすでに「仕事の型」ができ始めており、仕事の基礎スキルに加え、業界の知見や社内外の人脈を蓄え始め、あと数年すれば部下を持つようになる頃です。

質問者の方には厳しい言い方になって申し訳ないのですが、「いまだ特にやりたい仕事が見つかっていません」と言える時期はそろそろ過ぎようとしています。あと30年間以上どうやって食べていくかを最優先に考えるべきです。これは「大手ならではの新人教育の充実度に期待」する新卒の学生とは全くもって次元の異なる話です。自分を育てられるのも、自分を幸せにできるのも自分だけです。

質問者の方は「漠然と語学を使いたい」とのことですが、語学だけで売りになる「使える」レベルというのは交渉ができるレベルですし、欲を言えば現場で必要な契約書が読めるレベルです。20代で獲得しておきたいハードスキルの目安は前回の「リクルートを卒業した方がいいですか?」の「20代に必要なスキル」をご参照ください。

30代になれば転職における履歴書や面接では、TOEIC900点といった語学力は参考程度になっていき、実務で何をしていたかという実績面に焦点が移ってきます。もし、今の非営利団体でこうした実務経験を積めないのであれば、履歴書に書くことはできません。

転職で民間に移るとしても、民間企業側が「非営利団体」を正しく捉えてない場合も多く、そのイメージから民間では使えないのではないか、と思われる可能性もあります。そのため、もし真剣に今後の転職やキャリア上のリスクヘッジを考えるのであれば、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士といった難関資格への挑戦や医療事務関連資格や宅建といった働ける資格取得も視野に入れなければなりません。

こうした資格にせよ、資格登録には修習や実務経験を要する場合があります。晴れて資格者になったとしても前回「弁護士、弁理士はこれから食えますか?」でお話ししたように道は険しいものです。しかしながら質問者の方は定時に帰ることができ、時間にも余裕があるそうなので、何にせよ、社会的に通用する資格を取得することは検討すべきです。

アメリカではNPOも高学歴・高収入

ここでちょっと閑話休題ですが、学生や20代の方、特に女性の方で「NPO(非営利団体)に興味があって」や「いつかはNPOで働きたいと思っています」と言う方がよくいます。もちろん全員ではないですが、そうした方々はNPOというと「ガツガツお金のことを考えなくて、良いことをしている」イメージを持っているかも知れませんが、一部の資金に余裕がある財団などを除き、国際人道支援や貧困問題への取り組みを行っているようなNPO団体は寄付によって成り立っているので、民間企業以上に貪欲かつ効率的に資金管理を行わなければなりません。

NPO団体は個人や企業から寄付を得るために、「活動が公益に資するんですよ」という的確なプレゼンテーションとスポンサーとの継続的な関係構築が必要ですし、金銭的リターンを目的としないがゆえに、NPOを率いるリーダーは理念と志で人を率いるという難しい組織マネジメント力が必要とされます。そんなマネジメント力やリーダシップ、そして人脈を持った人物であれば民間企業に移っても有能なことでしょう。

税制や寄付文化といった環境も異なりますが、米国のNPOでは運営スタッフも高学歴かつマネジメント経験を有する人間も多く、報酬もNPOマネジメントのプロフェッショナルとして民間にそん色ない、またはそれ以上の待遇を受けている場合もあります。米国NPOのトップに至っては報酬のもらい過ぎ批判もあるくらいで、日本における「NPOは好きなことやってるんだから、報酬は安くて当然じゃない」的な周囲の雰囲気とはかなり世界が違うと言えます。

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